超大型都市が生態空間をいかに確保するか、深セン市を例として
このニュースをシェア
【6⽉27⽇ Peopleʼs Daily】中国・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)には中国で唯一の都市中心部の国家級自然保護区である內伶仃島-福田国家級自然保護区がある。深セン市は人口密度の高い大都市であるにもかかわらず、野生の維管束植物2218種と陸生脊椎動物651種の存在が確認されており、毎年約10万羽の渡り鳥が越冬する。深セン市は2022年、世界初の「生物多様性魅力都市」に選ばれた。2023年には世界初の国際マングローブセンターが設立された。
今年1月には深セン市塩田港区の沖合いにシナウスイロイルカが現れ、元気な姿が注目を集めた。シナウスイロイルカが生息するためには極めて良好な水質が必要だ。近年になり、シナウスイロイルカは深セン沖合いにしばしば姿を現している。
また、內伶仃島-福田国家級自然保護区のマングローブ林は、渡り鳥の重要な越冬地だ。同保護区には、マングローブ20種を含む高等植物353種が生え、生息する鳥類は272種で、クロツラヘラサギを含む国の重点保護鳥類は60種が確認された。
深セン市は2005年に生態コントロール基本ラインを設定し、陸地面積の約24%、海洋面積の19%を生態保護レッドライン内に入れた。生態を保護する空間を最大化する取り組みだ。
深セン市大鵬新区では陸地面積の73.5%が生態コントロールラインの内側に入れられた。同区は三方を海に囲まれて山地も存在する地勢で、現在では森林被覆率が77%を超えた。
深セン市宝安区(Bao'an)に十数年住む住民の一人は、「昔の茅洲河の水は黒ずみ臭かった」と述懐した。しかし老朽化した敷設管の交換、企業の違反排出行為への監督強化、水質の常時監視などで、茅洲河の水質は好転し、長年姿を消していたエビの一種が戻り、国の絶滅危惧植物である野生のミズワラビが生えるなど生物多様性が取り戻された。
深セン市仙湖植物園の王暉(Wang Hui)副主任は、「私どもは植物資源を集めて保護し、適切な時期に自然に戻して個体数を増やしています」と述べた。同園は現在、国の重点保護野生植物440種、絶滅危惧種の植物757種を栽培している。
大鵬湾では2012年以来、サンゴの植え付けが続けられている。深セン市大鵬新区サンゴ保育有志連合会の王暁勇(Wang Xiaoyong)秘書長によると、同連合会は政府部門との協力により、これまでに二つの海上サンゴ試行保護区を設立して6000本以上のサンゴ植え付けを実施、傷ついたサンゴ500本以上を修復してきた。この海底に潜るボランティアらは、深センが生態保護への社会全体の参加を奨励していることの縮図だ。
深セン市はまた、「自然教育の都市」の建設に力を入れ、各種の自然教育活動を展開し、大衆の自然保護への参加を推進している。深センには現在、自然学校が23か所、自然教育センターが49か所あり、環境保護ボランティアは20万人に達した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News