【6月26日 AFP】富豪に対する課税が富裕国で適切に行われていないことから、富裕層に対する世界的な最低税率の導入が必要だとする報告書が25日に発表された。

 世界的な富裕層への課税というアイデアは、20か国・地域(G20)の中ですでにブラジル、フランス、スペイン、南アフリカが支持している。一方、米国は明確に反対している。

 報告書は、G20に委託されたフランスの経済学者ガブリエル・ズックマン(Gabriel Zucman)氏が発表した。報告書は、世界の超富裕層が「優遇税制による膨大な恩恵」を受けており、超富裕層に対する国際協調的な最低課税基準が必要だと主張している。

 ズックマン氏はAFPに対し、「超富裕層は他のすべての社会階層に比べてはるかに少ない税額しか払っていない」と述べた。

 ズックマン氏は、世界のビリオネア(保有資産10億ドル以上)3000人にその財産の少なくとも2%に相当する課税を行えば、年間2000億~2500億ドル(約32~40兆円)を確保できると主張している。だが現在、ビリオネアへの実際の課税は、財産のわずか0.3%にすぎないと報告書で指摘した。

 また富裕層への課税が改善されれば「租税回避を行う動機」が減り、「不平等との闘い」に役立つとも報告書では述べている。

 米非営利報道組織プロパブリカ(ProPublica)は2021年、小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)を創業したジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏や、電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク(Elon Musk)氏ら一部のビリオネアは、その総資産に対してほとんど、あるいはまったく税金を払っていないと報じた。こうした大富豪は脱税こそしていないが、「一般人には手が届かない」節税策を取っているとしている。(c)AFP