【6月20日 AFP】イタリアで19日、農作業中の事故で腕を切断し、そのまま道路脇に遺棄されたインド人出稼ぎ労働者が死亡した。

 サトナム・シンさんは、インド人労働者が集住するローマ南郊の農村地帯ラティーナ(Latina)県にある農場で働いていた。

 イタリアの労働組合、農業・食品産業労働者連盟(FLAI-CGIL)によると、シンさんは17日、干し草を刈っている最中に機械で腕を切断されたが、「雇い主は助けるどころか、シンさんの自宅近くにごみのように捨てた」。FLAI-CGILはまるで「ホラー映画」だと非難した。シンさんは30歳か31歳で、労働許可証を持たずに働いていたという。

 マリーナエルビーラ・カルデローネ(Marina Elvira Calderone)労働・社会政策相は議会で「ラティーナの農村部で深刻な事故に遭い、重体の状態で遺棄されたインド人の農場労働者が死亡した」と報告。「まさに野蛮な行為」について当局が捜査中だと述べ、責任者の処罰を望むと表明した。

 現地警察によると、シンさんの妻と友人からの通報を受け、救急用航空機を派遣してローマの病院に搬送したが、シンさんは19日正午ごろに死亡した。

 ラティーナの農村地帯は、労働者の搾取で悪名高い。中道左派・民主党は、シンさんに対する扱いを「文明の敗北」と非難した。(c)AFP