デジタル人材の需要急増、教育と生産現場の「不整合」の解消策とは=中国
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【6⽉22⽇ Peopleʼs Daily】中国政府はこのほど、「デジタル人材育成でデジタル経済発展の加速を支援する行動プラン(2024~2026年)」を発表した。3年前後をかけてデジタル人材の育成や活用などの行動を展開し、デジタル経済の質の高い発展をより良く支えるという。
北京航空航天大学(Beihang University)の博士課程で電子工学を専攻する張洪超(Zhang Hongchao)さんは、マイクロエレクトロニクス会社に入社して、デバイス研究開発の技術者になる予定だ。
張さんは「集積回路企業では経験豊富なデジタル人材が特に不足している」と考えて、2021年10月から北京(Beijing)市内の会社で実習を始めた。大学での学業にも取り組みつつ2年余りで多くの経験を積んだため、実習先企業への就職が決まったという。
張さんの2年前の見立てはまさにその通りで、業界ではさまざまなデジタル技術者への需要が高まっており、経験が豊富な人材は企業が奪い合う「人気者」だ。
中国はデジタル経済の発展が世界で最も速い国の一つであるがために、推計によるとデジタル関連人材が2500万~3000万人不足しており、不足は拡大し続けている。もう一つの問題は、大学や大学院で学んで就職して、身に付いた能力では現場の必要をまだ満たせないことだ。同問題を解決するための重要な鍵の一つが産学連携だ。
デジタル技術を駆使して生活関連サービスを提供する美団(Meituan)の技術者はこのほど、清華大学(Tsinghua University)の工学系の学生に「快速配送のための人工知能(AI)技術」を講義した。講義は同大学自動化学部の賈慶山(Jia Qingshan)教授と美団の技術者が共に担当した。受講者によると、講義は理論と実践の結び付きを強調し、現場でAI技術をどのように活用して意思決定の自動化とスマート化を実現するかを理解して身に付ける意義があったという。
美団は2021年に清華大学と清華大学-美団デジタル生活連合研究院を設立した。双方はそれ以来、数十の科学研究協力の課題に取り組み、「ビッグデータ技術の応用と実践」などの長期課程を開講した。
多くの大学がロボット工学、スマート製造工学、無人航空機システム工学、素材スマート技術、スマート視覚工学などの新専攻を設けるようになった。また業界専門家との共同講義の導入、産学の合同実験室の構築や実習実践拠点の設置、産学で連携しての学生の指導などが増えている。
デジタル産業は技術の更新が早く、人材の需要は絶えず変化している。大学と企業の協力、企業のニーズに基づいてカリキュラムが組まれるクラス、企業名を「冠」にしたクラスの開設などを通じて新技術や新たな変化に適応し、主要企業や職業学校などによるデジタル職業の技能認定を実施して評価基準の体系を健全化するなどで、デジタル技能人材の育成環境を整えることは、デジタル経済の発展を推進する重要な道筋だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News