【6⽉17⽇ Peopleʼs Daily】自動車メーカーである長城汽車(Great Wall Motor)の河北省(Hebei)保定市(Baoding)内にある精密自動化工場では、5Gをさらに進化させた5G—Aを利用した巨大なロボットアームが稼働している。5G—Aと人工知能(AI)の融合により、この生産ラインは稼働停止時間を年間で60時間減少した。その結果、損失を8億元(約172億円)以上削減した。

 中国ではAI技術とその応用が急速に進展している。中国AI学会の余有成(Yu Youcheng)副秘書長は、「中国では大量の応用場面、巨大市場、膨大な人材がAI発展の良好な基盤を築きました」と説明した。

 AI産業は規模を拡大し続けている。中国のAIコア産業の規模はすでに5000億元(約10兆8000億円)を突破し、参入企業数は4500社を超えた。予測によると、2035年に中国AI産業規模は1兆7300億元(約37兆円)で、世界全体に占める割合は30.6%に達する見込みだ。

 中国で開発されたAIビッグモデルは現在までに、スマート鉱山、医薬品研究開発、気象、政務、金融、スマート製造、鉄道管理などの分野に導入されている。生成AIはチャットボット、スマート検索、テキスト生成などの分野で普及している。

 山東省(Shandong)日照市(Rizhao)の港の一般貨物埠頭(ふとう)には、河北省(Hebei)邯鄲市(Handan)からの鋼板、湖南省(Hunan)株洲市(Zhuzhou)からの掘削機、河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)からの排水管など中国各地から多くの商品が集められ、世界各地に運ばれて行く。

 これらの商品は形状も大きさもさまざまなので荷役作業の流れが複雑で、作業効率が低いなどの問題があった。しかし港湾側はAI利用のスマートモデルを導入することで、全体の稼働効率を10%、ヤードの回転率を20%向上させた。

 交通のスマート化も進んでいる。湖南省長沙市(Changsha)では、バス運行が交通警察スマート情報制御システムと連動しており、バスが交差点に近づくと信号が青に切り替わって優先して通行させる。同システムの参画企業の湖南湘江智能科技革新センターの担当責任者である劉高(Liu Gao)氏は、「スマートバスによる通勤時間は一般的な運行モデルのバスに比べて、平均で30.7%短縮されます」と説明した。長沙市の中心部ではバス75路線の運行がスマート化されたという。

 AIは科学研究の時間を大幅に節約する。百度AIクラウド(Baidu AI Cloud)と上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)が共同開発した科学研究プラットフォームは医薬品開発での分子設計、反応設計、条件生成、反応検査の全過程を加速し、従来の方法では数か月を要した合成プランの設計を数十分にまで短縮することができる。

 AI産業の勢いある発展を受け、多くの研究者や企業関係者は、AI分野の科学技術革新をさらに加速し、AIの質の高い発展と高水準の応用によって経済発展の新たな動力を形成する必要があると考えている。中国は次の段階として、インフラ建設を強化し、適用分野の拡大で応用を加速し、重要技術を取得し、AI産業をより高い水準に向けて押し上げていかねばならない。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News