【6⽉14⽇ Peopleʼs Daily】火炎と煙が噴出し、ロケットが上昇を始めた。歓声が上がった。中国・山東省(Shandong)海陽市(Haiyang)の沖合に浮かぶ船の甲板を射場として実施されたロケットの打ち上げだ。

 海陽市には地理上の条件により小傾斜角や太陽同期軌道などさまざまな軌道の衛星を打ち上げやすい強みがある。そこで市は、宇宙開発関連を新興産業として育てることにした。2019年には固体燃料ロケットの長征11号(Long March 11)が同市沖合で、中国初の海上打ち上げに成功した。海陽市は関連する行政サービスの水準を高め続けた。プロジェクトの審査段階から基地の建設まで、さらに宇宙科学普及館など特色ある街の建設も含めて、質の高い発展の要求を貫徹して川上および川下産業の集積を進めることで、新興産業の発展の基盤を固めてきた。

 新興産業の育成と拡大のキーワードは「質の高さ」だ。山東省は今年第1四半期(1-3月期)、32種の省あるいは国が所管する戦略的新興産業群の成長と拡大を支援した。投じた予算は3兆2000億元(約69兆4000億円)に達した。

 新興産業の導入は始まりに過ぎず、その後の産業群を育成する道は長い。リチウムイオン電池を生産するある企業は、拠点を山東省棗荘市(Zaozhuang)ハイテク区に設立した。同企業の責任者は、「ここにはリチウム産業についての明確な発展計画があり、1枚の青写真を最後まで描く実行精神もあります」と、立地を決めた理由を説明した。行政側は工場用地の選定から建屋の設計、施設建設から設備の調整に至るまでの対応専門班を結成し、進捗(しんちょく)をリアルタイムで支援する。企業も積極性を出して事業に着実に取り組むことで、地元の経済や社会の発展を後押しすることになる。業界の発展にはトップダウン設計が必要で、企業の経営には計画性が必要だ。はっきりとした道筋を描けてこそ、新興産業の発展の余地をより大きくし、その推進力をより十分なものにできる。

 新興産業を育成するには、人材が極めて重要だ。山東省棗荘市は人材面の強みを成立させるために、リチウムイオン電池産業の人材導入や奨励、行政サービスなどの各措置を明確化した。山東精工電子科技の研究開発リーダーである張敬捧(Zhang Jingpeng)氏が率いるチームは9種類のリン酸鉄リチウムイオン電池を開発したが、チームが獲得した奨励金は累計390万元(約8450万円)に達した。人材資源を発掘するためには、人材と知識の導入を重視し、教育機関と企業の協力を推進すべきだ。棗荘市には今年に入ってから、リチウムイオン電池企業のために累計870人余りの各種人材がやってきた。良好なプラットフォームを提供し、待遇を確実に保障し、人材の「編隊」を形成することが、産業発展の「隊列」を支える。

 中国では山東省に限らず、地域の特性に応じてチャンスをつかみ、新興産業の育成を加速し、質の高い発展を実現する取り組みが、各地で絶えず進められている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News