ロボット犬・ドローンがパトロール、随所にAI…韓国「工場が自ら、面倒を見始めた」
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【05月30日 KOREA WAVE】灰色のパイプラインが血管のように絡み合い、ビルほどの原油貯蔵タンクが入り込んでいる。ここは韓国SK蔚山(ウルサン)コンプレックス(CLX)内の精油工場。
「チイッ」という音とともに噴き出す熱い水蒸気の間に、黄色いロボット犬1匹が悠々と歩き回っている。SKイノベーションが人工知能(AI)・デジタルトランスフォーメーション(DT)の一環として導入した先端ロボット「ヘンドッグ」(幸せ+dog)だ。
ヘンドックは狭い隙間や危険区間まで進入し、設備の状態を入念にチェックした。本体についたセンサーと熱画像カメラで設備をスキャンし、異常の有無を管制所に伝送する。タンクの屋根のように高い区間は、ドローンロボットが150mまで上昇して点検する。汝矣島(ヨイド)面積の3倍(250万坪)に達する工場敷地には、ロボットとドローンが動き回っているだけで、人の気配はなかった。
23日、蔚山市南区(ナムグ)のSK蔚山CLXでは精油生産工程にAIによる先端技術を導入する「スマートプラント2.0」作業が真っ最中だった。SKイノベーションが2016年、韓国の石油化学業界で初めて導入したスマートプラントの次世代バージョンで、SKイノベーションが独自開発したAI・DT技術を適用して、効率性と安全性をワンランクアップさせることが骨子だ。
「スマートプラント」は工程を自動化するスマートファクトリーで、一段階進歩したバージョンだ。従来のスマートプラント1.0が工程運転、設備管理、安全・保全・環境(SHE)などの分野にビッグデータと情報通信技術(ICT)を適用する段階だった。
スマートプラント2.0では、AI・DT技術を適用して工程自動化水準をさらに高度化する。推進課題も従来の4つから40あまりに増えた。
具体的には▽工程自動運転プログラム▽工程自動制御高度化▽設備故障予測ソリューション▽蔚山CLX統合安全モニタリング体系構築――など。すべての業務に自動化・知能化技術を導入、生産性とエネルギー効率を高め、万が一の事故を事前に予防することが最終目的だ。
SKイノベーションは、年間100億ウォン以上のコスト削減効果を期待している。
まず、工程運転分野には「自動運転プログラム」を導入し、反復的な業務を自動化した。また、生産性とエネルギー効率を最適化する「工程自動制御」(APC)技術にAIを導入し、水準をいっそう高めている。野外生産現場にはロボット犬を放し、普段はオペレーターが担っていたガス漏れ監視やゲージ測定業務を補助している。
設備管理分野では振動や温度などの設備データを基にした「故障予測ソリューション」を構築し、事前の事故予防率を引き上げた。特に、高所地域の設備検査や危険作業をドローンとロボットに代替した。ロボット犬のヘンドックは1日6回、1回40~50分ずつパトロールする。ドローンは1回20分ずつ稼動し、空から設備を検査している。
拡張現実(AR)技術も取り入れられた。例えば、ロボット犬やドローンが問題点を発見すると、修理地点まで仮設足場を設置しなければならないが、パッドカメラで現場を映すとAIが最適の設計図面を提案する。SKエネルギースマートプラント推進チーム長のチョン・チャンフン氏は「足場を設置する前にARで図面をあらかじめ見ることができるため、合理的な費用算定が可能だ」と話した。
SHE分野では250万坪に達するSK蔚山CLX全体に対する「統合安全モニタリング体系」構築を目標に▽モバイル基盤作業許可発給▽協力会社勤労者位置管理▽密閉空間リアルタイムガス感知▽拡張現実(XR)安全教育――を進めている。SKイノベーションの関係者は「(モニタリング領域を)今年下半期中に1~2つの工程を追加する。来年またはそれ以後に領域全体に広げる」と話した。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News