中国、3月のCO2排出量減少 23年がピークか 報告
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【5月28日 AFP】中国の3月の二酸化炭素(CO2)排出量は、新型コロナウイルス関連のさまざまな規制撤廃され、経済活動が再開して以来初めて減少した。フィンランドのシンクタンク、エネルギー・クリーンエアー研究センター(CREA)が報告した。
CREAは減少の要因として、再生可能エネルギーの導入拡大と建設活動の大幅な低迷を挙げた。このまま再生可能エネルギーの使用が記録的な水準で増加すれば、中国のCO2排出量は2023年をピークに減少傾向に入る可能性があるとしている。
分析を行ったCREAのラウリ・ミリビルタ(Lauri Myllyvirta)氏は28日、英環境問題専門サイト「カーボン・ブリーフ(Carbon Brief)」への寄稿で、今年3月の中国のCO2排出量は前年同月比3%減だったと報告した。
今年1~3月の四半期で見ると前年同期比よりも排出量は多いが、それは22年末にコロナ関連の規制が解除された直後の経済活動がまだ低迷していた時期との比較が入っているためだと説明。3月は「経済回復後の排出量の傾向が初めて明確に示された月」になったと説明した。
報告によると、電力部門の排出量は太陽光発電と風力発電の増加により安定している。一方、鉄鋼生産は前年同月比8%減、セメント生産も22%の大幅減となった。これは不動産部門の減速を反映しており、今後も続くと見込まれる。
また電気自動車(EV)の普及により、石油需要は減少傾向にある。販売データによれば、中国市場におけるEVのシェアは、昨年の7%から10%強にまで増加している。
報告書の中でとりわけ重要なのは、電力需要が増加している一方で、前年同月比の需要増加分のほぼ90%が再生可能エネルギーによって賄われた点だとミリビルタ氏は指摘している。
その再生可能エネルギーの使用量の多くは、小規模な太陽光発電によるものだという。小規模太陽光発電は、中国の再生可能エネルギー利用が急増する中で重要性を増している。
ミリビルタ氏によると、今年1~3月期の太陽光発電と風力発電の導入量は40%増加したが、送電網へのアクセスには引き続き制約があり、発電量全体に占める割合は合わせて15%にとどまっている。こうした状況について、中国当局は自然エネルギーの送電網への統合を進めようとしている。
ただし、中国の再生可能エネルギー導入率が伸びるのか、それとも鈍化するのかについては見解が分かれており、CO2排出量の推移は依然不透明だ。(c)AFP