【5月28日 AFP】陸上男子短距離の新星イサム・アシンガ(Issam Asinga、スリナム)がドーピング違反で4年間の資格停止処分を科されると、陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」が27日に発表した。昨年樹立したU-20の100メートル世界最高記録をはじめ、同年獲得した100メートルと200メートルの南米タイトルなど、2023年7月18日以降の全結果が取り消される。

 米国に拠点を置く19歳のアシンガは、検査で禁止薬物に陽性反応が出たことについて、米スポーツ飲料ゲータレード(Gatorade)のグミ製品に禁止薬物が含まれていたと説明していた。しかしながらAIUは、同選手が「2023年7月18日に採取された検体から検出されたGW1516の代謝物の原因が、ゲータレードのグミである可能性を立証する確率を示せなかった」と指摘した。

 GW1516は脂肪代謝の仕組みを変更できる物質で、元来は肥満や糖尿病などの治療薬として開発されたものの、現在は人体への使用が認められておらず、世界反ドーピング機関(WADA)はアスリートに健康へのリスクを警告している。

 アシンガは問題の検体が採取された昨年7月18日からわずか10日後、自身初の国際大会としてブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)で開催された南米陸上選手権(South American Athletics Championships)に出場し、100メートルではU-20の世界新記録9秒89で優勝した。

 このタイムは、レツィレ・テボゴ(Letsile Tebogo、ボツワナ)がマークしたそれまでのU-20世界最高記録9秒91を0秒02上回った。また、南米出身選手としては、1988年にロブソン・ダ・シウバ(Robson da Silva)が10秒00を記録して以来の最速タイムとなっていた。(c)AFP