【5⽉30⽇ Peopleʼs Daily】航空宇宙技術は一国の科学技術水準と総合国力を反映するだけでなく、技術の発展を広くけん引する。中国の宇宙関連技術は経済と社会の発展に寄与する新たな力になり、大衆の生活に貢献している。

 北京市(Beijing)石景山区(Shijingshan)にある中国航天科工集団(China Aerospace Science and Industry CorporationCASIC)スマート科技研究院では、科創センタースマート感覚認知技術研究室の郭宇飛(Guo Yufei)副主任が、チームの開発したカメラを調整していた。

 郭副主任は「従来のカメラは画面の中の明暗の差が大きいと、しっかりと撮影できませんでした」と説明しながらレンズを窓の外の太陽に向けた。ディスプレーには瞬時に鮮明な画像が表示された。

 このカメラは脳神経型形態センサーを搭載することで、レンズに人の目のような光の処理能力を持たせ、光度差の大きい画面の鮮明な表示を実現した。郭副主任によると、この技術はこれまで主に宇宙観測などで応用されてきたが、現在では携帯電話による撮影やスマート運転などに導入されている。

 北京では近年、4000件以上の宇宙開発での成果が生物、医療、農業、自然資源などの業界で応用され、宇宙関連技術が人々の生活に溶け込みつつある。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)黄陂区(Huangpi)の港湾村にある永旺農産物専業合作社(組合)では、稲田の中で無人運転の耕運機が進み、その後には整然たる畝が並んでいた。少し離れたあぜ道では、農業機械士の陶哲(Tao Zhe)さんが携帯電話を使って操作していた。陶さんによると、北斗(Beidou)衛星測位システムを利用しているので、走行ルートの精度が高い。

 同組合では、北斗衛星測位システムを作付けから収穫などの作業の各段階で利用するようになった。組合責任者の胡丹(Hu Dan)さんは、「水田の各所にセンサーを取り付けて、5G、北斗、IoT(モノのインターネット)、クラウドコンピューティングの技術によって、それぞれの場所のpH、温度、風速などをリアルタイムで監視管理しています。従来の方式に比べて手間が90%以上省けました」と説明した。

 湖北省は近年、北斗衛星測位技術の農業分野での応用が加速している。北斗端末を搭載した各種農機は4万台(セット)以上に達し、北斗を利用する農作業面積は計1億1200万ムー(約7万4700平方キロ)に達した。それ以外にも電力、水利、交通分野で北斗衛星の測位技術を広く応用している。

 湖北省宜昌市(Yichang)五峰トゥチャ族自治県(Wufeng Tujia Autonomous County)傅家堰郷では、国家電網(State Grid Corporation of China)の現地関連会社の技術担当者である徐海章(Xu Haizhang)さんがドローンを点検してから発進させた。ドローンはゆっくりと離陸して、送電線に沿って一定の速度で飛んで行った。

 徐さんは、「弊社が管轄する送電線の多くは山間部にあり、インターネットの信号が届かない地域も多くあります。ドローンは以前から普及していましたが、離陸できないこともしばしばありました。今では北斗を搭載したドローンがセンチメートル級の精度の測位を実現して、全天候型で死角のない正確な作業ができます」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News