【5月22日 AFP】エジプトの首都カイロ近郊で21日、ナイル(Nile)川を航行中のフェリーから小型バスが転落し、農場労働者の女性少なくとも10人が死亡した。うち9人は児童労働者だった。保健省が明らかにした。

 現場はカイロの北西約50キロにあるアブガリブ(Abu Ghalib)村。保健省の報道官はAFPに「死者数は10人だが、さらに増える可能性がある」と語った。

 日刊紙アルアハラムによると、運転士が降車しようとする乗客の一人と「口論」になり、サイドブレーキを解除したとされる。

 運転士は逃走を試みたが、逮捕されたという。

 犠牲者は全員、同じ「輸出向けの果樹園」で働いていた。同紙が公表した名簿によると、40歳の1人を除く9人は16歳以下で、うち2人は13歳だった。

 エジプトで通勤時の交通事故は珍しくない。特に農民や労働者が過積載のフェリーで移動しているナイル川や周辺の川沿いの農業地帯で頻発している。

 公式統計によると、アラブ諸国で人口最多のエジプトでは、少なくとも130万人の子どもが何らかの形で児童労働に従事している。

 国際労働機関(ILO)によれば、その大半は家業の農場を無償で手伝っている。

 しかし、農業労働の実態を幅広く研究している農村社会学者のサケル・ヌール(Saker al-Nour)氏によれば、子どもたちが輸出向けの大規模農場に働きに出される場合も多い。

「このような事故が繰り返し起こるのは、子どもたち自身の言葉を借りれば、『イワシのように』小型バスに詰め込まれ、『ひどい環境』の仕事に行かされるからだ」と同氏はAFPに語った。(c)AFP