【5⽉21⽇ Peopleʼs Daily】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のクチャ(Kuqa)は古くは「亀兹」と呼ばれ、シルクロードの重要な中継地であり、唐代には安西都護府の所在地だった。その歴史は2000年以上もある。

 クチャ市には重要な価値を持つ古民家や古い建築物が多くある。市当局は2023年に改めて、「古建築を救う行動」に着手した。まず、北京市(Beijing)にあるデジタル技術を扱う企業の清城睿現デジタル科技研究院(THID)が旧市街の古建築すべてを調査し、中国国内の文化財保護専門家を招いてクチャ市内の関連する職人に古建築の保護や修復に関する訓練を施した。

 文化遺産保護の専門家であるTHIDの賀艶(He Yan)院長によると、「行動」が始まって以来、地元の職人150人余りが古建築の修復に参加した。賀院長は「最小関与の原則を堅持して本来の技術や材料に基づいて修復し、古建築の本来の価値を保つようにしています」と説明した。

 クチャ出身でまだ20代のユスプジャン・アセンさんも、古建築の保護活動に参加した。大学を卒業してからクチャに戻って仕事をしていたが、保護活動には伝統技能を持つ職人が必要と聞き、しかも幼い頃から父親に木工を習っていたからという。

 ユスプジャンさんはその動機を「古建築は歴史の証人であり文化の担い手です」と説明した。実際に作業に参加して、仕事の難度が高いことに気付いたという。伝統的な装飾や建物の風格を損ねないようにする一方で、作業の安全確保も重要だからだ。

 クチャに5か所ある歴史文化街区では、建物の解体や新築はせずに保護と修復に力が入れられている。また水道、電気などのインフラ整備も進められている。このことで、観光地としての価値も向上しつつある。観光客が増えて商店は活気づき、屋台も増えた。

 踊り手は両腕を上げ、頭を右傾させ、眼瞼を垂らし、右足を地につける。キジル千仏洞の壁画に描かれた亀兹舞踊のイメージのようだ。このクチャ・サナムと呼ばれる踊りは国家級無形文化遺産にも登録されている、難度が高い踊りだ。1990年代には技術を身に付けたベテラン演者が相次いで死去して、伝承は苦境に立たされた。現在は無形遺産の保護が強化され、若者がダンスを学ぶ意欲と積極性が引き出された。2012年にはクチャの民間舞踊家のナシル・ヌサルさんがクチャ・サナムの国家級代表伝承者に選ばれた。ナシルさんの弟子はすでに500人余りもいて、この貴重な舞踊芸術の活力をよみがえらせている。

 クチャは近年、無形文化遺産の保護と伝承に力を入れている。クチャ無形文化遺産プロジェクトには146種があり、うち国家級無形文化遺産に選ばれたものは2種で、無形文化遺産の伝承者には500人以上が選ばれた。補助金などの拠出や、発表の機会を設けることなどで無形遺産伝承者の積極性を高め、師弟方式で教えることで、より多くの若者が文化伝承の隊列に加わりつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News