【5月19日 AFP】サウジアラビアで17日、水着モデルを起用したファッションショーが初めて開催された。約10年前まで全身を覆うゆったりした服「アバヤ」の着用を女性に義務付けていた同国では画期的な出来事だ。

 モロッコ人デザイナー、ヤズミナ・カンザル(Yasmina Qanzal)氏の作品を取り上げたプールサイドのショーでは、赤、青、ベージュなどの色合いのワンピース型の水着を着用したモデルが登場。大半は肩が露出し、おなかが見えるタイプの水着を着用したモデルもいた。

 カンザル氏はAFPに、「この国が非常に保守的なのは事実だが、アラブ世界を代表するエレガントな水着を披露しようと考えた」と説明。

「ここに来てみて、サウジアラビアでの水着のファッションショーの開催は歴史的な瞬間だと分かった。このようなイベントは初めてだからだ」と述べ、「光栄」に思うと付け加えた。

 ショーは、西岸沖の紅海(Red Sea)に位置するセントレジス・レッドシー・リゾート(St Regis Red Sea Resort)で、第1回「レッドシー・ファッション・ウィーク(Red Sea Fashion Week)」の2日目に行われた。

 同リゾートは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)兼首相が推進する社会・経済改革「ビジョン2030(Vision 2030)」の核となるプロジェクトの一つ、「レッドシー・グローバル(Red Sea Global)」の一環として造られた。

 サルマン皇太子は2017年に就任して以降、イスラム教スンニ派(Sunni)の中でも特に戒律が厳しいワッハーブ派を昔から奉じているというサウジアラビアの厳格なイメージを緩和するため、さまざまな社会改革に乗り出してきた。

 その一環として、ショッピングモールで礼拝の時間になると棒で人々を追い回してモスク(イスラム礼拝所)に向かわせていた宗教警察による慣習の廃止、約35年ぶりの映画館の再開、男女混合の音楽フェスティバルの解禁などを行ってきた。

 一方で、こうした動きに反発を示す保守的な聖職者を含め、政策に批判的な勢力を標的にした弾圧を強めている。(c)AFP