【5月15日 AFP】ウクライナ軍は14日夜、ロシア軍が新たな攻勢で前進している北東部ハルキウ(Kharkiv)州の複数の集落周辺から部隊を撤退させたと発表した。

 米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官が前日、首都キーウを電撃訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が米国に武器供与を早めるよう要請する中、ウクライナ軍は撤退について詳細に発表。

「ルクヤンツィ(Lukyantsi)およびウォウチャンスク(Vovchansk)周辺のいくつかの地域で、わが軍の部隊は、敵の砲撃と地上部隊による攻撃から兵士の生命を守り損失を避けるため、より有利な位置に移動した」と述べた。2年におよぶウクライナ紛争で、両軍は撤退する場合に「有利な位置」への移動と表現している。

 ウクライナ軍が武器および兵員不足で苦戦する中、ロシア軍は先週、ハルキウ州への大規模な地上攻撃を奇襲的に開始し、周辺全域で前進を試みている。

 約30キロ離れている二つの集落、ルクヤンツィとウォウチャンスクはロシア国境に近く、新たな攻勢の標的となっている。ウクライナ軍はロシア軍の突破を防ぐため、周辺に増援部隊を急行させた。

 一部の軍事アナリストは、ロシア軍が同じく攻勢を強めている戦略上の重要拠点ドネツク州チャシウヤール(Chasiv Yar)など、他の前線地域からウクライナ軍を転進させるのが狙いである可能性を指摘している。

 ゼレンスキー氏は14日夜の演説で「ドネツク州とハルキウ州は現在、最も困難な地域だ」と述べた。

 米国では先月、ウクライナへの軍事支援610億ドル(約9兆5000億円)を含む追加予算案が可決された。14日朝にキーウ入りしたブリンケン米国務長官はゼレンスキー氏との会談の冒頭、ウクライナへの軍事支援は「近い将来に届く。ロシアの侵攻と対峙(たいじ)する上で大きな違いを生むだろう」と述べた。

 一方、ゼレンスキー氏は国境地帯を防衛するためとしてブリンケン氏に対し、米国製の地対空迎撃ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」2基を追加要請した。(c)AFP/Stanislav DOSHCHITSYN