【5月15日 AFP】米IT大手グーグル(Google)は14日、検索サービスの回答作成に生成人工知能(AI)を導入すると発表した。世界をリードしてきた検索エンジンにとって過去25年で最大級の変化となる。

 スンダ―・ピチャイ(Sundar Pichai)最高経営責任者(CEO)は米カリフォルニア州で開催された開発者向け会議で、グーグルの対話型AI「ジェミニ(Gemini)」を使用した新しい検索機能「AIオーバービュー(AI Overviews)」を今週、米国で提供開始すると発表した。

 AIオーバービューでは、従来の検索結果一覧の上に、AIがインターネット上で見つけた情報の要約と情報源のリンクが表示される。

 業界では米新興パープレキシティ(Perplexity)のように生成AIを使用した検索サービスの登場が、グーグルにとってプレッシャーになっている。また対話型AI「チャットGPT(ChatGPT)」を開発した米オープンAI(OpenAI)も独自のAI検索ツールを開発中とのうわさがある。

 さらにフェイスブック(Facebook)、インスタグラム(Instagram)、ワッツアップ(WhatsApp)といったSNSやメッセージアプリ内にもAIチャットによる検索機能が登場しており、ユーザーはグーグル検索を利用しなくてもインターネット上から情報を得られるようになっている。それらは従来の検索サービスの結果表示よりも分かりやすい回答が得られると歓迎もされている。

 一方、小規模のコンテンツ事業者などは情報を探すユーザーの閲覧が減ることを恐れ、この変化に神経をとがらせている。

 米調査会社ガートナー(Gartner)は、AIボットの使用によって、検索エンジンからウェブサイトへの流入は2026年までに25%減少すると予測している。

 だが、グーグルはチャットGPT方式のAIインタラクションが、検索エンジンからの広告売上にほぼ依存している同社のビジネスに影響を与えるのではないかという指摘に反発している。

 グーグルの検索エンジンチームを率いるリズ・リード(Liz Reid)氏は「AIオーバービューを使うことで、ユーザーの検索利用はさらに増え、また結果に満足していることも明らかになった」「非常に複雑な質問でも、ニュアンスや補足説明をすべて一度に尋ねることができる」と自信を示した。

 リード氏によれば、動画コンテンツに基づく検索についても間もなく試験を開始する。壊れた家電製品を撮影し、その動画で検索をかけることで修理のヒントが得られるといった機能だという。(c)AFP