【5月15日 CNS】「私の仕事は飛行機の外科医のようなものです」。中国の航空業界の安全を18年間にわたって支えてきた中国の格安航空大手「春秋航空(Spring Airline)」構造ワークショップ主任の馬偉軍(Ma Weijun)さんは、業務内容をこう説明する。民間航空整備士免許など20以上の資格を取得し、中国の航空業界には約100人しかいない最新の検査技術「非破壊検査(NDT)」の技術を持つ専門家でもある。

 彼の業務範囲は、航空機に使用されている各部品の安全検査だ。超音波や渦電流などの方法でくまなく部品を検査し、特に難しいとされるエンジンの検査では、潜在的な不具合を事前に見抜いてきた。

「検査業務には、非破壊検査や金属加工なども含まれますね」。金属加工とは、医師に例えれば「整形外科医」のようなものだという。航空機の部品が使用中に腐食したり、損傷したりした場合、それらを金属加工の技術で修復する。まるで新品のように復元するのだ。

「できる限り完璧を追求したいと思っています。1粒の砂粒でも混入は許せません」と馬さんはいう。潜在的なリスクが発見されたら、芽のうちに摘み取ることが大切だという。工業用内視鏡を部品の間に挿入して、「胃の内視鏡検査」のような作業も行っている。

 ある日、馬さんはエンジンの整備中に、ある部品が損傷していることに気づいた。損傷は小さかったが、内部に別の損傷がないかチェックする必要があった。そこで、超音波での検査を実施し、問題がないことを確認したという。

 こうしたトラブルに「絶対」といえる解決策はないのだという。馬さんらは長年の経験を頼りに、超音波による損傷部分の探知を試み、内部構造に別の損傷がないことを確認することに成功した。しかし、この方法はマニュアルには載っていないものだという。

 馬さんらは、この出来事を同社技術部門を通じて報告書の形でメーカーに送り、メーカーからも高く評価された。

「春秋航空は安全を最優先事項しています。これこそ私が会社を常に信頼してきた理由です」と馬さんはいう。

 馬さんは最近、疲労の多い夜勤業務にミスが発生しやすいことに気づき、タイムカードによる安全管理を採用することにした。さらに点検作業のリスクポイントや注意事項などを明示し、スタッフ全員が作業工程を確認できるよう改善した。こうした革新的な管理手法は業界から高く評価され、さまざまな受賞にもつながっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News