【5⽉17⽇ Peopleʼs Daily】嫦娥6号(Chang’e-6)は5月3日午後5時27分に中国南部の海南省(Hainan)にある文昌衛星発射センター(Wenchang Space Launch Center)から打ち上げられた。同探査機は世界初の、地球から見て月の裏側の土壌のサンプルリターンに挑む。嫦娥6号の飛行の全過程は約53日間を予定している。

 中国は2019年1月に嫦娥4号(Chang’e-4)を、人類として初めて月の裏側に着陸させた。嫦娥6号については、さらに月の裏側からのサンプルリターンを目指すことがとりわけ注目されている。

 人類はこれまで月への計10回のサンプルリターンを行っているが、持ち帰ったのはいずれも月の表側の土壌だった。人類の月に対する認識を向上させるには、できるだけ広範囲からさまざまな土壌を持ち帰ることが望ましい。

 嫦娥6号が着陸を予定しているのは、月の裏側にある南極エイトケン盆地(South Pole-Aitken)だ。同盆地は太陽系全体で知られている最大の衝突クレーターの一つで、月の起源や進化の研究を進める上で極めて重要な研究価値がある月の極めて古い岩石を採取できる可能性がある。

 嫦娥6号にとっては一つの厳しい状況がある。月の裏側は月の表側ほど平坦ではないことだ。嫦娥6号ミッションの王瓊(Wang Qiong)副チーフデザイナーは、「衛星リモートセンシング映像により着陸エリアの基本的な状況を知ることはできますが、詳細は不明です」と述べた。例えば月面にある比較的大きな石が、着陸時に思わぬ事態を引き起こす可能性もある。嫦娥6号はそのため、降下中に技術的手段により着陸地点を理想的な場所に調整する必要がある。

 嫦娥6号については、実務的な国際協力も大きな特色だ。国家航天局は2019年4月に外部に向けて嫦娥6号の搭載物受け入れの公告を発表し、その後の2回にわたる搭載申請の募集と選考を通じて、欧州宇宙機関(ESA)の月表面マイナスイオン分析装置、フランスのラドンガス探知装置、イタリアのレーザー反射鏡(コーナーキューブ)、パキスタンのキューブサット(立方体の形状の小型衛星)の嫦娥6号への搭載を最終決定した。

 国家航天局は5月3日、嫦娥6号搭載物国際シンポジウムを海南省海口市内(Haikou)で開催した。同シンポジウムにはパキスタン、フランス、イタリアなど12か国の宇宙機関、在中国大使館および国連(UN)、欧州宇宙機関などの代表約50人が出席して協力について協議した。一同はまた、嫦娥6号の打ち上げにも立ち会った。

 嫦娥6号ミッションの胡浩(Hu Hao)チーフデザイナーは、「中国は一貫して、月探査プロジェクトでの国際協力を重視しています。協力の扉は常に国際社会に対して開かれています」と説明した。

 中国は、月面基地である国際月科学研究ステーション(ILRS)という大プロジェクトの推進を加速しているとされる。最近になり、ニカラグア、アジア太平洋宇宙協力機構、アラブ天文学宇宙科学連盟が同プロジェクトに新たに参加した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News