ストイックエンターテインメントが開いた記者懇談会(c)news1
ストイックエンターテインメントが開いた記者懇談会(c)news1

【05月15日 KOREA WAVE】米メタ(旧フェイスブック)の最新拡張現実(XR)機器「クエスト3」を使うと、戦車の砲塔内部に座ったような視野が広がった。握ったコントローラーを前に傾けると振動が感じられ、戦車が前に進んだ――。

韓国の仮想現実(VR)ゲーム開発「ストイックエンターテインメント(Stoic Entertainment)」はVR新作「Tank Arena: Ultimate League」を今月23日、メタストアで発売する。韓国のゲーム企業としては唯一、次作までメタストアで発売することに成功した。

ストイックは今月10日、ソウル市麻浦区(マポグ)でこれを紹介する記者懇談会を開いた。

ストイックは、最近訪韓したメタのザッカーバーグ代表(CEO)が非公開で会った韓国スタートアップ5社の1社。同社はXRコンテンツの不毛の地だった韓国で10年間、関連するコンテンツを作りながら市場が成熟するのを待った。関連研究・開発(R&D)も着実に進め、乗り物酔いの低減、仮想環境広告などの技術特許37件を確保した。

こうしたノウハウが適用された「Tank Arena: Ultimate League」はグラフィック、ユーザー環境(UI・UX)などで乗り物酔いを防ぐことを考慮した。乗り物酔いはVRゲームの参入障壁を高める要素だ。

このゲームは基本的に戦車に乗ったユーザー間で競争する一人称視点シューティング(FPS)ゲームだ。8人のユーザーはチーム単位で競い合いながら激しいプレーを繰り広げる。

VR機器を使って体が固定された状況で視野だけが変わる場合、乗り物酔いになりやすい。しかし、激しいプレイ画面は意図的に砲塔の窓だけに絞り込み、乗り物酔いを和らげた。

また、ゲームオブジェクトに高品質のグラフィックを選択的に適用し、最適化した。VR機器は双方にそれぞれ異なる画面を送出しなければならないため、同一グラフィックであっても4倍の演算が要求される。最適化ができなければ、スムーズな画面再生が難しく、これがユーザーの乗り物酔いにつながる。

このため開発チームは、砲塔内部など頻繁に露出される要素には高解像度を適用する一方、背景などは比較的シンプルに表現することで最適化を実現した。

また、ストイックはVRゲームユーザーの主要な年齢層が若いことから、ソーシャル的な要素を積極的に導入した。ゲーム待機空間である「ラウンジ」が設けられ、ユーザーはアバターでコミュニケーションしたりミニゲームを楽しんだりすることができる。

2022年に発売された前作「World War Toons Tank Arean VR」では、こうした要素が足りず、利用者がゲームに滞在する時間が短かった。ストイックのキム・ホンソク共同代表は「チーム競争の特性上、ゲームに滞在する人員が多い方がスムーズなマッチングが可能だ」と指摘する。

ゲームビジネスモデル(BM)はグローバルトレンドを反映し、課金でキャラクター「スペック」を高めることができないようにした。課金要素はあくまでも戦車の外装やラウンジを飾るアイテムが中心だ。

ストイックのチェ・ユンファ共同代表は「欧州のプレーヤーは資金を使って競争に勝つということに拒否感がある。グローバル市場を狙うため、それを考えたBMを設計した」と強調している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News