【5月14日 Xinhua News】中国天津市はこのほど、「大規模な設備更新と消費財買い替え・下取り推進に向けた天津市の実施プラン」を発表し、自動車メーカーと販売企業に働きかけて買い替え・下取りによる販売促進活動を繰り広げるなどの措置を明確にした。これを受け、同市で労働節(メーデー)連休(1~5日)に開催された天津国際自動車交易会(見本市)では、入場者が延べ20万人を超え、現場での契約や予約が1万1千台余りに上った。

 国務院が「大規模な設備更新と消費財買い替え・下取り推進行動プラン」を発表したことを受け、天津市以外の国内各地も積極的に実施プランを打ち出し、自動車とりわけ新エネルギー車(NEV)への買い替えを支援している。この動きは自動車の消費を後押しするとともに、その「ボーナス」が自動車輸出や中古車など流通の各段階に及び、自動車産業に新たな成長エネルギーを注ぎ込んでいる。

 中国自動車工業協会(CAAM)が発表したデータによると、中国の2024年第1四半期(1~3月)の自動車生産台数は前年同期比6・4%増の660万6千台、販売は10・6%増の672万台で、好スタートを切った。

 同協会の陳士華(ちん・しか)副秘書長によると、新車の大量市場投入やモーターショーなど会場型イベントの相次ぐ開催、買い替え・下取り販促キャンペーンの実施などによって、1~3月の販売台数は2019年以降同時期で最高の672万台となったとみられる。

 上海市、寧夏回族自治区、重慶市などは最近、自動車の買い替え・下取り関連政策を相次いで打ち出している。上海は新たなガソリン車の買い替え・下取り補助金政策とNEVへの乗り替え政策を発表、ガソリン車は1回限りの購入補助金2800元(1元=約22円)、NEVは1回限りの購入補助金1万元を申請できる。寧夏は廃車(回収)補助金や中古車下取り、新車補助金などの政策を組み合わせて打ち出した。

 商務部の盛秋平(せい・しゅうへい)副部長は、中国のNEV市場浸透率は年々高まり、新旧の転換が加速しており、買い替え・下取りの潜在能力は巨大だと述べた。

 買い替え・下取り政策が徐々に施行されるのに伴い、自動車メーカーも動き始めた。吉利汽車や奇瑞汽車、東風汽車などが買い替え・下取り関連の追随政策を打ち出した。新興電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)は最高10億元のガソリン車買い替え補助金を用意すると発表した。ガソリン車のユーザーがNIOの新車に乗り替えると、選装基金(車を購入する際の追加オプション代金を支援するファンド)などの補助を受けられる。

 自動車買い替え・下取りの「ボーナス」は中古車へも広がっている。商務部など14部門が発表した「消費財買い替え・下取り推進行動プラン」は①中古車の安心で便利な取引を促進する②売買の双方を直接つなぐ中古車取引プラットフォームの強みを生かし、中古車取引の中間段階縮減、コスト削減、効率向上を図る-などを提起した。この好材料はすでに販売データに反映されており、中国自動車流通協会の情報によると、4月の中古車取引は前年同月比14・7%増の168万台に上った。

 中古車取引プラットフォーム「瓜子二手車」の王暁宇(おう・ぎょうう)上級副総裁は、「政策支援の強化に伴い、更新のための消費が車の乗り替え需要を引き出し、中国のガソリン車市場がNEV市場に転換するのを加速する」と指摘。30年のNEV市場浸透率60%の目標は前倒しで達成される見通しだと述べた。

 中国証券大手の財通証券の研究リポートは、23年に中国で車齢が4~9年の買い替えピーク時期にある乗用車数を約1億1千万台としている。王氏ら業界関係者は、買い替え・下取り政策は中古車流通の透明化と規範化を促し、自動車の更新効率を高めるのに役立ち、消費者により多くより良質な中古車物件を提供するとの見方を示している。(c)Xinhua News/AFPBB News