【5月8日 CNS】4月23日の「世界読書の日」を迎えるにあたり、電子書籍の人気が高まる中、リアル書店はどのようにして収益を上げているのか?

 上海市にあるネット人気書店「神獣之間」の創業者、蒋巍(Jiang Wei)さんは、「50元(約1069円)の本をオンライン書店と同じ価格で販売すれば、粗利は10パーセントを超えることはない」と述べている。つまり、50元の本を売った場合、リアル書店が5元(約106円)以上の利益を得ることもできないということだ。

 また、リアル書店「1200bookshop」の創業者、劉二囍(Liu Erxi)さんも、「ほとんどの書店は本の販売だけでは利益を上げることができない」と認めている。彼は過去10年間で、書店にバーや餃子店、深夜食堂、ユースホステルなどを組み合わせてみたが、結局期待に応えることはできなかった。同店は独自の文化クリエイティブブランドやカフェも展開し、時折店内で各種文化イベントを開催している。

 蒋さんは最初から、本の販売だけで利益を上げるのは無理だと考えていた。彼の書店「神獣之間」では、本の価格はウェブストアと同等に設定している。

 蒋さんが真に実現したいのは、会員制度の充実だ。読者が書店の会員になると、本の割引に加え、店内の書籍を無制限に借りたり、実際のイベントやオンラインコースに無料で参加することができる。

 現在、「神獣之間」には数千人の会員がいる。

 会員制度だけでなく、さまざまなイベントも同店の収益源となっている。

 劉さんは近年、持続可能に発展できる書店や書店ブランドをどのように築くかを模索している。

 彼は「線外(オンラインや対面以外の形式)書店」という新しいモデルに挑戦した。これは、実店舗を超え、物理的な空間を越えたビジネスを展開する書店だ。この分野では、「1200bookshop」は不動産会社のための書籍の配置や空間デザインを手掛け、ショッピングモールでの展示会や講演を企画し、銀行での読書会をサポートしてきた。

 劉さんはまた、書店が本の販売以外のビジネスで利益を得ていて、なお「書店」と呼べるのかを考えている。彼によれば、書店は社会によって絶えず再構築され、単なる本の売買の場を超え、文化や芸術のレジャースペースへと進化している。インターネットは本の購入手段を代替することはできても、書店が提供する独特の文化体験に取って代わることはできないという。

 劉さんは、本こそが書店にとって非常に重要な要素だと考えている。本の販売に頼らずに本の価値を活かすことで、書店の未来を見出すことができると信じている。

 蒋さんも、「形式よりも市場環境にどのように適応するかが重要だ」と述べている。

「紙の本は単なる媒体に過ぎない。重要なのは、本という媒体を通じて素晴らしい文化空間を創造すること、そして多様なビジネス形態を通じて持続可能でポジティブな利益を見出すことだ」と、蒋さんは語る。(c)CNS/JCM/AFPBB News