【4月25日 AFP】(写真追加)パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、イスラエル軍による空爆で瀕死(ひんし)になった母親から帝王切開によって女児が無事に誕生した。母親はその後死亡し、父親と姉も空爆で死亡したため、女児は孤児となった。

 ガザ南部ラファ(Rafah)東方で週末、妊娠7か月だったサブリーン・サカニさんはイスラエル軍の空爆で頭と腹に致命傷を負い、重体で救急搬送された。目撃者がAFPに語ったところによると、サカニさんの自宅が空爆を受けたという。ガザの保健当局は、この空爆で少なくとも19人が死亡したとしている。

 ラファにあるクウェート病院の院長で外科医のサヒブ・シャムス(Sahib al-Shams)氏は、サカニさんについて、「呼吸困難に陥っていたにもかかわらず、生きていたのは奇跡だ」とAFPに説明した。

 医療チームは、診察中にサカニさんが妊娠していることに気付き、麻酔薬が不足していたものの、直ちに帝王切開に踏み切った。

 シャムス氏によると、サカニさんは手術の「10分後に死亡した」。サカニさんの夫ともう一人の娘も、病院到着時に死亡が確認された。

 複数の地元メディアによると、早産で生まれた女児の体重は2000グラム未満だという。

 その後女児は、ガザでの死傷者の増加に対応するため昨年12月にラファに開設された首長国病院の小児科に移された。病院側によると、23日午前の時点で容体は安定している。

 女児は孤児となったが、父方のおじ、ラミ・シェイクさんが退院後に引き取る意向を示している。

 シェイクさんは「母親のおなかから助け出されためいの様子を見に、毎日病院に行っている」とAFPに語った。

 女児の父親がアラビア語で「魂」を意味する「ルー」と名付けたがっていたため、「サブリーン・ルー」と命名したという。(c)AFP