【4月23日 AFP】ドイツ連邦検察庁は23日、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に所属する欧州議会(European Parliament)議員のスタッフが、中国の情報機関のためにスパイ活動をしていた疑いで逮捕されたと発表した。

 検察当局は容疑者の氏名について「ジアン・G」とのみ公表。欧州議会における交渉に関する情報を中国の情報機関に渡したり、ドイツ国内にいる反体制派の中国人をスパイしていた疑いが持たれている。当局は容疑者について、中国の「シークレットサービスの要員」だとしている。

 欧州議会のウェブサイトによると、AfD所属のマクシミリアン・クラー(Maximilian Krah)議員のスタッフとしてジアン・グオ(Jian Guo)氏という人物が登録されている。同氏はドイツ国籍で、2019年から欧州議会でクラー議員のスタッフとして勤務していると伝えられている。

 容疑者は22日にドイツ東部ドレスデン(Dresden)で逮捕され、家宅捜索を受けたという。

 逮捕を速報で伝えたドイツ各メディアによると、容疑者の住所はドレスデンとブリュッセルの両方にあるという。

 クラー議員は6月の欧州議会選挙でも、AfDの最有力候補とされている。

 報道を受けてAfDは「非常に不愉快」だと発表。同党の広報を担当するミヒャエル・プファルツグラーフ(Michael Pfalzgraf)氏は声明で「本件に関するこれ以上の情報はないため、連邦検察のさらなる捜査を待たなければならない」と述べた。

 ドイツでは22日にも、中国の情報機関に海洋技術の機密情報を渡した疑いで男女3人が逮捕された。ドイツのメディアは、2つの事件に関連性はないとしている。

 一方、中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は23日、クラー議員のスタッフ逮捕について「この種の誇大報道の意図は非常に明白だ。中国を中傷し、抑圧し、中国と欧州の協力ムードを壊すことだ」と反発。

 ドイツ側に対して「冷戦時代のメンタリティーを捨て、いわゆるスパイの脅威を利用した政治的な反中工作を行うことをやめることを望む」と述べた。(c)AFP