【4月22日 Xinhua News】佐賀県多久市で18日、孔子を祭る行事「春季釈菜(せきさい)」が盛大に行われた。早朝から同市の市長や市議会議長、教育長、市内の小中学校長から成る参拝団が祭官服を着て参道を進み、恭しく多久聖廟(せいびょう)に入った。

 多久聖廟は1708年に多久鍋島家4代当主の多久茂文によって創建された。釈菜は4月18日の春季釈菜、10月第4日曜日の秋季釈菜と毎年2回行われ、300年余り続く伝統行事となっている。

 参拝団が「仰高」と刻まれた石門を通って聖廟の庭に到着すると、赤漆塗りの荘厳な聖廟の建物が目の前に出現した。廟は日本の禅宗様仏殿形式で建てられているが、門柱に竜や象の頭、門の梁には鳳凰(ほうおう)や饕餮(とうてつ、中国の神獣)などが彫られており、中国的な雰囲気が漂う。

 本堂の正面奥には祭壇があり、中央に木彫りの孔子像が立つ八角厨子(ずし)が安置されている。祭壇の両側には孔子の弟子数人の彫像がそれぞれ立つ。

 祭礼では、神を迎えて香をささげるほか、孔子とその弟子にセリやタケノコ、クリなど8種類の釈菜を献上するなど、90余りの儀式が行われる。市職員で構成された雅楽隊の演奏による楽曲が流れる中、「献官」役の市長が孔子とその弟子の像一体一体に向かって礼拝した。

 1時間半におよぶ祭礼が終わると、市内の小中一貫校、東原庠舎西渓校の小学1、2年生たちが聖廟前で、ゆったりとした楊琴と腰鼓(ようこ)の伴奏に合わせて孔子祭りの歌を元気よく歌い始めた。続いて紫色の楽舞衣装を着た中学生20人余りが整列し、荘厳な「釈菜の舞」を披露した。

 多久市は孔子の故郷である山東省曲阜市と1993年に友好都市関係を締結。97年に曲阜市が孔子の石像1体を多久市に寄贈した際、地元の子どもたちに踊りと腰鼓を教えたことで、同市で数百年続く釈菜に踊りや腰鼓などの内容が加わり、現在に至っている。(c)Xinhua News/AFPBB News