【4月17日 AFP】アルメニアは16日、オランダ・ハーグ(The Hague)の国際司法裁判所(ICJ)で行われている公聴会で、アゼルバイジャンが係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)からのアルメニア系住民の排除を狙った「民族浄化を完遂した」と非難した。これに対しアゼルバイジャン側は、都合が良いように解釈が加えられていると反論した。

 ナゴルノカラバフをめぐっては、アゼルバイジャンが昨年9月に軍事作戦を実施して奪還。約30年に及ぶアルメニア系の支配は終わった。それを受け、10万人を超える同地のアルメニア系住民はアルメニアへの避難を余儀なくされた。

 アルメニアの代表、エギシェ・キラコシャン(Yeghishe Kirakosyan)氏は公聴会で、「アゼルバイジャンは何年にもわたって(ナゴルノカラバフでの)民族浄化をちらつかせた後、完遂した」と主張。「今や文化や宗教遺産を含むアルメニア人の痕跡をすべて組織的に消し去ろうとしている」と糾弾した。

 同氏はAFPの取材に対し、アゼルバイジャンは「何十年」にもわたり人種差別撤廃条約に違反してきたと語った。

 一方、アゼルバイジャンの代表、エルヌル・マムマドフ(Elnur Mammadov)氏はAFPに対し、「アルメニアがきょう提出した証拠には、都合の良い解釈がなされているという問題がある。全体の文脈を無視している」と指摘。アルメニア側の主張は人種差別撤廃条約に沿っておらず、ICJには管轄権がないとして、訴えは退けられるべきだと述べた。

 公聴会は26日まで2週にわたって行われる予定。(c)AFP/Jan HENNOP / Richard CARTER