【4⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国は自国内外の人の往来を奨励している。政府関連部門は決済サービスをさらに向上させ、中国に来た外国人に多様な決済サービスを提供すべく多くの措置を打ち出している。

 オーストラリア人のジャックさんは最近になり、中国人である妻と共に中国に来た。妻と共に訪中したことは何度かあったが、自分自身のモバイル決済を利用可能にすることが複雑だったために断念し、毎回の支払いは妻がしていた。ジャックさんによると、今回の訪中では「ビザ(VISA)カードを微信(ウィーチャット、WeChat)と支付宝(アリペイ、Alipay)にひも付けてみました。パスポートによる確認も必要がなく、1分もかからずにできました」という。

 オンライン決済サービスでは2023年以降、阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下の金融会社の螞蟻集団(アントグループ、Ant Group)が運営する支付宝と通信アプリの微信を運営する騰訊控股(テンセント、Tencent)傘下の財付通が中国人民銀行(People's Bank of China)や国家外貨管理局の支持と指導を受け、商業銀行、決済機構、カード組織と提携して一連の改善措置を次々と実施し、国外で発行された銀行カードにひも付けて中国国内の店舗で使用できるようになった。

 また、中国銀聯(ユニオンペイ、UnionPay)はすでに約200の海外ウォレットを、支付宝や財付通は13の海外ウォレットを導入している。支付宝と微信は外国人のモバイル決済利用での1件当たりの取引限度額をそれまでの1000ドル(約15万3000円)から5000ドル(約76万6000円)に、年間累計取引限度額を1万ドル(約153万円)から5万ドル(約766万円)に引き上げた。

 外貨両替や現金サービスも改善されている。国家外貨管理局は通関地や外国人が利用するホテルについて、「銀行支店」、「海外の銀行カードでの引き出しが可能なATM」、「銀行が認可した外貨両替機関」、「個人向け外貨両替の有資格機関」、「一部の自動両替機」の両替の主要な5種類の手段のうち、少なくとも1種類を利用可能にする方針を打ち出した。

 きめ細かなサービス改善も進んでいる。中国語と英語の2言語対応だった支付宝は3月18日に16言語対応のサービスを試験導入した。この多言語サービスはタクシーの配車、ホテルの予約、観光地のチケット予約、バス乗車、為替レートの問い合わせなどに利用できる。支付宝の担当者は、「海外からの観光客の利用頻度が高い場面を中心に、外国人ユーザー向けのサービスをさらに導入していきます」と述べた。

 各地の当局も懸命に動いている。北京市(Beijing)は市内の重点商圏、観光地、公園、ホテルなどでの外国で発行された金融カードの受け付け能力を向上させている。上海市(Shanghai)は公式サイトで外国籍者の支払いに関する関連情報をまとめ、短時間内に必要な内容を見つけやすいように工夫している。浙江省(Zhejiang)は2023年11月に「外国人の支払い円滑化プロジェクト」に着手した。同省では今年2月末時点で、海外の個人向けモバイル決済を扱える業者数が256万に達した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News