【4⽉12⽇ Peopleʼs Daily】弁当箱を搭載したドローンが空に舞い上がり、2分後にはオフィスビルに到着した。中国・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)竜崗区のある商圏では、高層ビルの間を自在に行き交う配達ドローンが、すでに日常の光景だ。

 このサービスを手がける美団(Meituan)の担当者は、「この商圏ではドローンが毎日300回以上、食べ物を配達しています。昼食の時間帯では、ほぼ毎分1回の割合で離着陸です」と説明した。美団はすでに深セン市内で、集合住宅、オフィスビル、観光スポット、病院、大学などを対象に累計20万件以上のドローン配送サービスを提供してきた。

 深セン市では、深セン宝安国際空港(Shenzhen Bao'an International Airport)から市街地までのヘリコプターを使った旅客輸送、深セン市血液センターから病院までのドローンによる血液製剤の輸送、電力分野での「5G+ドローン」による高圧電線の検査などが日常的に行われている。観光、警備、医療、緊急救援、自然保護など、深センでの低空域経済の応用シーンはますます拡大している。

 深セン市交通運輸局民航発展課の趙柯(Zhao Ke)副課長によると、深セン市ではすでに低空路線が計126本開通し、ドローンの離着陸地点が89か所設けられた。2023年には貨物を載せたドローンの飛行は60万回、ヘリコプターの飛行は2万回に達した。趙副課長は、「深セン市は低空域経済を、20の重点発展戦略に含まれる新興産業群の一つとして、技術革新をけん引役に、応用を駆動役として、加速的発展を推進していきます」と説明した。

 深セン市無人機業界協会の楊金才(Yang Jincai)会長によると、2023年には深センの低空域経済による売上高は960億元(約2兆100億円)を超え、企業1700社以上による研究開発、設計、製造、運行、保障を完備した産業チェーンが形成された。深セン市では現在、消費者向けドローンによるサービスの市場が全世界の70%以上のシェアを占め、工業向けドローンでも全世界の50%を超えている。

 深セン市で低空域経済が急速に発展しているのは、市が「先行発展戦略」に力を入れ、政策体系を絶えず改善してきたからだ。深セン市は2017年に通用航空産業総合モデル区になった。2019年には微軽型無人機の飛行適性空域を設定する方式が制定された。今年2月1日には、「深セン経済特区低空域経済産業促進条例」が施行され、インフラ、飛行サービス、産業応用、技術革新、安全管理などの面での低空域経済産業の発展が規範化された。

 趙副課長によると、深セン市では低空スマート融合インフラプロジェクトの第1期分の進展が加速しており、施設網、空中通信ネットワーク、航路網、サービス網が構築されつつある。また、スマート航空交通運行実験室なども建設中で、今後は無人操縦や連携飛行の検証作業を次々と展開し、低空域飛行に関する規則や基準、規範を整備していく。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News