【4⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国・福建省(Fujian)アモイ市(Xiamen)の下潭尾海浜湿地公園。十数年前には廃棄物が散乱していた。干拓や無秩序な水産養殖などの影響で湾内は荒れ果て汚染が進んだ。干潟の原生マングローブ林は破壊されていた。

 アモイ市は局面打開のため、一連のマングローブ生態修復計画を実施した。「中国マングローブの父」とも呼ばれるアモイ大学(Xiamen University)の林鵬(Lin Peng)教授が率いるチームは期待に応え、約5ヘクタールのマングローブ実験林の育成に成功した。

 下潭尾のマングローブ林は10年余りの実験栽培を経て、世界のマングローブ林の消滅が加速する中での再生に成功した。当時は林鵬氏が指導する初めての大学院生で、後にアモイ大学教授にもなった盧昌義(Lu Changyi)氏は「下潭尾のマングローブ林の面積は85ヘクタールに達し、『緑の緩衝帯』を形成し、台風や高潮などの自然災害を防ぐ天然生態障壁になりました」と説明した。下潭尾の生物種は大幅に増加し、鳥類では60から70種に達した。

 マングローブ林では病虫害が一度発生すると、林全体が死に絶えることも珍しくない。盧氏は病虫害をタイムリーに把握するために、標本採取用の無人機を設計した。この無人機は通常の巡回検査のほかに、マングローブ林の「定期健康診断」を毎月行っており、何らかの異常が発見されれば、チームは「症状改善のための投薬」を行うなど迅速に行動する。盧氏のチームの貢献により、アモイはマングローブ林の科学的管理の連続したファイルを構築し、長期的な管理にさらに多くの科学的根拠を提供した。

 アモイ市では篔簹湖から海滄湾、さらに環東海域に至るまで、今日ではますます多くのマングローブがすくすくと成長している。盧氏は「たゆまぬ努力により、アモイのマングローブ林は全体的に順調に成長しています。海洋生物の食物連鎖の種数と個体数はいずれも著しく増加しました」と説明した。

 盧氏はマングローブ林の研究と保護に身を投じて40年以上だ。盧氏の一挙手一投足は周囲の多くの人に影響を与えてきた。

 アモイ大学の大学院博士課程を修了した中国中央政府・自然資源部第三海洋研究所の余興光(Yu Xingguang)元所長は、大学に足を踏み入れて以来、毎年の植樹作業には盧氏に率いられて足を運んだと回想した。余元所長は、「私たちが一緒に植えたマングローブと海浜植物は、大きな緑樹になりました。泥が積もっていただけの湖の小島は、至る所が生気に満ちています」と説明した。

 多くの市民や観光客が下潭尾海浜湿地公園および周辺の生態保護地域を訪れ、自然と触れ合うようになった。盧氏によると現地はかつて、「魚を捕り尽くす」という利用法だったが、現在は生態教育を「楽しみながら学ぶ場」に移行した。盧氏は「この変化により、マングローブ林の破壊を回避するとともに、観光産業チェーンを延長し、より良き観光体験をもたらすことで経済収入を増やすことができます」と評した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News