【3月21日 CGTN Japanese】中国東部の江蘇省の蘇州市中級人民法院(日本の地裁に相当)はこのほど、定年間近の従業員がオンラインで休暇の申請ができずに欠勤したことを理由に解雇されたことによる労働契約紛争で、雇用側の労働契約解除は違法であるとして、解雇された従業員に10万元(約200万円)の賠償金支払いを命じる判決を言い渡しました。

 今年59歳の辛さんは、2012年5月にある部品会社に入社し、作業場で10年以上働いていました。会社は2019年4月に、すべての従業員に対して、休暇を取るためには企業の微信(ウィーチャット、中国のSNS)アカウントへの操作をすることを要求し、このオンライン操作をせずに出勤しなかった場合は、欠勤として処理すると通告しました。

 辛さんは2023年の春節(旧正月、2023年は1月22日)期間に、オンラインで休暇をとる流れが分からなかったために、ウィーチャットや電話を通じて上司に休暇の取得を求め、次に出勤した際に改めて休暇の手続きをすると説明しました。会社側は辛さんの求めを認めるかどうかについて返答せず、後になって3日連続で欠勤したことを理由に、辛さんとの労働契約を解除しました。

 一審の裁判所は、会社側が辛さんとの労働関係を解除したことは違法であり、会社側に賠償金10万元余りを支払うよう命じました。会社は不服として控訴しましたが、蘇州市中級人民法院は一審判決を支持しました。

 中国では、同件に注目が集まりました。多くのネットユーザーが、60歳近くの従業員に対する不公平に対して憤りを示し、デジタル化や高齢化がともに進む中で、高齢の従業員にもっと優しい社会を築くことが必要との声が高まっています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News