【3月21日 AFP】(更新)米大リーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)は20日、大谷翔平(Shohei Ohtani)の通訳を務める水原一平(Ippei Mizuhara)氏を解雇した。大谷の弁護士は、同選手が「大規模な窃盗」の被害に遭ったと発表しており、水原氏は違法とされるブックメーカーに賭けるために数百万ドルを着服したとみられている。

 ドジャースの広報担当はAFPの取材に対し、「チームはメディア報道を認識しており、情報を収集している」とし、「球団は通訳の水原一平氏が解雇されたことを発表する。現時点でそれ以上のコメントはない」と電子メールで応じている。

 大谷の弁護士が所属するバーク・ブレットラー法律事務所(Berk Brettler LLP)は、「最近のメディアへの取材に応じる中で、ショウヘイが大規模窃盗の被害者であることが判明し、この件を当局に引き渡すことにした」との声明を発表している。

 米紙ロサンゼルス・タイムズが報じたところによると、違法ブックメーカーのマシュー・ボウヤー(Mathew Bowyer)氏への連邦捜査の中で大谷の名前が浮上したという情報を同紙がつかんだ後、同法律事務所が大谷の通訳を長年勤める水原氏の行動を調査したという。声明の中では水原氏の名前は触れられていない。

 同紙は匿名の情報筋2人の話として、被害額は「数百万ドルに上る」とし、水原氏がその金を賭博に使ったと報じている。

 一方、米スポーツ専門チャンネルESPNは、大谷の銀行口座から「少なくとも450万ドル(約6億8000万円)」がボウヤー氏の関係者に送金されたと報道。水原氏本人を含む複数の関係者はESPNの取材に対して、大谷は賭博をしておらず、その資金は水原氏の借金の埋め合わせに使われたと話している。

 MLBは「選手、審判、球団やリーグの役員および従業員」が野球に賭けたり、他のスポーツへ違法に賭けたりすることを禁じている。またスポーツ賭博自体は米国の多くの州で合法化されているものの、カリフォルニア州ではオンライン賭博などは違法となっている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、ボウヤー氏は昨年同州にある自宅を連邦捜査官に家宅捜索されていた。ボウヤー氏の弁護士は、ボウヤー氏が「オオタニとは会ったことも、話したことも、テキストメッセージを送ったことも、いかなる形でも接触したことはない」と話している。

 日本生まれで南カリフォルニア育ちの水原氏は、2017年に大谷がロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)と契約してから個人通訳となり、その後大谷を追ってドジャースに移籍した。

 大谷は水原氏を伴って試合やトレーニングのために球場入りしたり、チームの施設を離れた場所でも同じ時間を過ごしたりしている。(c)AFP