【3月16日 AFP】昨年亡くなったラグビー元マオリ・オールブラックス(Maori All Blacks)代表選手が、脳の変性疾患である慢性外傷性脳症(CTE)と診断された、ニュージーランド初のプロラグビー選手であることが、専門家らによって明らかになった。

 スーパーラグビー(Super Rugby、現スーパーラグビー・パシフィック<Super Rugby Pacific>)に参戦するブルーズ(Blues)などでSHとしてプレーしたビリー・ガイトン(Billy Guyton)さんは、家族がオークランド大学(University of Auckland)の「ブレーンバンク」に脳を提供したことで、CTEを患っていたことが判明した。

「ブレーンバンク」のモーリス・カーティス(Maurice Curtis)は15日、33歳で亡くなったガイトンさんについて、国内の病理学者がステージ2のCTEを指摘し、その後オーストラリアの専門家からも賛同を得たと述べた。

 CTEは、コンタクトスポーツで頭部に繰り返し打撃を受けることに関連があり、認知症やうつ病などを引き起こすことで知られている。

 ガイトンさんの父親は地元のラジオ局に対し、こういった症状は息子にも当てはまり、脳振とうの発作に悩まされて2018年に現役を引退したと述べている。

 これまでに、W杯(Rugby World Cup)で優勝経験を持つ元イングランド代表のスティーブ・トンプソン(Steve Thompson)氏ら元プロ選手300人が、脳に損傷をきたしたのはワールドラグビー(World Rugby)をはじめ、イングランドラグビー協会(RFU)とウェールズラグビー協会(WRU)の怠慢に責任があるとして、訴訟を起こしている。

 頭部への打撃による傷害は、運動ニューロン疾患や早期発症型の認知症、てんかん、パーキンソン病などの障害を引き起こしたとみられている。

 ニュージーランドラグビー協会(NZR)は、頭部への衝撃の危険性を減らすための対策を講じているとの声明を発表している。(c)AFP