【3⽉19⽇ Peopleʼs Daily】ピッチでは選手らが懸命にプレーする。その近くで応援団が歌い踊り、どらや太鼓が鳴り響く――。中国・貴州省(Guizhou)黔東南ミャオ族トン族自治州(Qiandongnan Miao and Dong Autonomous Prefecture)榕江県(Rongjiang)は「村超」発祥の地だ。「村超」とは農村部の住民が参加するサッカーの一連の試合で、中国では「中国足球協会超級聯賽(中国サッカー協会<CFA>スーパーリーグ)」が「中超」と呼ばれることから、インターネットで発生した呼称だ。

「村超」の試合は2023年5月13日から12月31日までの間に、話題の閲覧数は580億回を突破、オンラインライブ配信の視聴者数は累計6億人を超えたとされる。榕江県には累計733万人の観光客が訪れ、観光総合収入は81億1300万元(約1670億円)に達した。

「村超」の盛り上がりの背景には、地元の「サッカー熱」があった。榕江県の住民は1990年代には自発的に野外での試合をしていた。現在では県内に25のサッカー会場があり登録チーム数は35だ。人口40万人に満たない榕江県で、サッカー人口は5万人近くに達する。

 サッカー関連だけではない。同じ黔東南ミャオ族トン族自治州にある台江県(Taijiang)台盤村は「祝日には試合をする。真っ先にやる試合はバスケットボール」という伝統があった。同村は「村BA」の看板を掲げることで、年間で延べ200万人以上の観光客を呼び寄せ、観光収入は23億元(約470億円)を超えた。海南省(Hainan)文昌市(Wenchang)では農村部でも各所にバレーボールコートがあり、多くの住民がバレーボールをたしなむ。文昌市の「村バレー」もインターネットで人気を集めるようになった。

 農村部のスポーツイベントは地元経済を後押ししている。試合の合間には特色ある文化パフォーマンスが披露され、競技場の外では、電子商取引(EC)のライブ販売により地元の特色ある商品が販売される。貴州省ではすでに、地元の特徴がある食品や農業特産品、伝統工芸品が各地に売られ、多くの観光企画が登場し、雇用が増加した。

 もちろん地元住民は「金儲け」だけを考えているのではない。自らが情熱を注ぐスポーツの魅力をより多くの人に味わってもらうことが願いだ。そのため、住民はチームのために費用を集め、エンブレムを縫製し、試合会場では他の地方からやって来た客に席を譲り、ボランティアチームを組織するなどしている。「村超」の解説者の楊兵(Yang Bing)氏は、「榕江の人々はスポーツを絆として心が一つになったことで、故郷の文化にさらに自信を持つようになりました」と感慨深げに語った。

 清華大学(Tsinghua University)スポーツ産業発展研究センターの王雪莉(Wang Xueli)主任は「スポーツの発展が農村振興を後押しすることは、過去10年間の中国スポーツ産業発展における大きな達成でした。榕江県や台江県の革新的な実践は、文化・スポーツ・旅行の融合が経済と社会の発展をけん引し、人びとの素晴らしい生活への憧れを満たす上で重要な参考価値を持ちます」と評した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News