【3⽉18⽇ Peopleʼs Daily】イルミネーションを製作する会社の自貢竜騰文化芸術の鄧培林(Deng Peilin)会長は、「図面を描いて、適切な材料を選んで造形して、光源と伝動装置を取り付けて、紙貼りをして彩色するなど、製作は複雑です」と説明した。中国・四川省(Sichuan)自貢市(Zigong)のイルミネーション業界では祝祭日を控えた時期には臨時雇用も合わせて10万人が働く。

 自貢市ではイルミネーション産業が、地域経済の重要なけん引役だ。市内のイルミネーション関連企業は1000社に上る。年間生産額は約60億元(約1250億円)で、国内シェアは85%だ。

 海外からの注文も多い。広州交易会などの重要な展示会などでも注目されるようになり、良い製品を作り出すことが売り上げを増やすことに直結するようになった。

 2月2日に始まった第30回自貢国際恐竜ランタンフェスティバルの会場では、年越しにまつわる伝説の怪物である「年獣」が頭を振り、時折ほえ声を上げた。多くの観客が足を止めて、中国の伝統を受け継ぎ、しかも科学技術が込められた巨大「メカ年獣」を鑑賞した。

 同フェスティバルの企画責任者である鍾逸(Zhong Yi)氏によると、「メカ年獣」は10トン以上の重量があるが、十数種の動作を柔軟にこなすことができる。「AI脳」も搭載されており、観光客との音声でのやりとりもできる。イルミネーションが集中するイベントでは、優れた工芸技術や素材、設計理念が披露される。そのため一般の観客だけでなく足を運ぶバイヤーもいる。

 紹介によると、自貢のイルミネーション業界全体で160件余りの特許、7000件余りの知的財産権を保有している。2023年には自貢市のイルミネーション企業が各地で請け負うイルミネーションイベントが200件以上に達した。

 革新を継続するには人材が欠かせない。四川軽化工大学(Sichuan University of Science & Engineering)が全国初のイルミネーション学院を設立し、自貢職業技術学院(Zigong Vocational and Technical College)などの大学もイルミネーション学科を設立したことにより、自貢市では毎年2000人を超える「イルミネーション職人」を育成できるようになった。

 2月11日には、フランスのモントーバン(Montauban)で開催されていた、「ファンタスティックな世界、幻想の旅」と題された中国のイルミネーションフェスティバルが閉幕した。訪れた観光客は30万人を超えた。

 自貢のイルミネーションの海外での初展示は、1990年にシンガポールで実現した。現在までに80以上の国と地域で展示され、海外の関連市場シェアの92%を占めるようになった。2023年は海外での展示による売上高が5061万ドル(約76億1000万円)に達した。

 今回のフランスでの展示で、観客は魔法の帽子に導かれながら、広大な星の海や神秘的な森林などが織り成す幻想的な世界に足を踏み入れた。中国の風景やパンダなどの要素だけでなく、海外の人気キャラクターをあしらったイルミネーションも大好評だったという。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News