【3⽉8⽇ Peopleʼs Daily】パキスタンのアブラナの従来品種は生産量が少なかった。中国のチームは2004年からパキスタン国内で現地栽培に適したアブラナの品種の選別や育成、試験栽培を続けてきた。

 そして、中国とパキスタンのチームが協力して開発し、試験を10年ほど続けてきた新品種がHC-021Cだ。この品種はパキスタンの栽培条件に適し、生産量と含油率が高い。成熟が早く、気候が高温になる前に収穫することで生産量と品質を確保できる点でも優秀だ。2023年の試験栽培では、この新品種は単位面積当たりの収穫量が2~3割上昇し、市場での販売価格は前年を80%上回った。試験栽培農家は増収を実現した。

 アブラナ畑では、種子流通業に従事するナシム(Nasim)氏が農家と共に生育状況を確認していた。パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州内のこの地区では、北側にカラコルム山脈(Karakoram Range)がそびえ立つことによる独特な気象条件がアブラナ栽培に多くの課題をもたらしてきた。ナシム氏がHC-021C品種を販売したのは今期が初めてだ。ナシム氏は、種子販売業務の中国側責任者である周旭昇(Zhou Xusheng)氏とそのチームの姿を見た。ナシム氏は大声を出した。「菜の花が咲きました!」――。周氏ら中国側チームはその場で農家の質問に答え、手本を示しながら畑の管理作業を説明した。

 ナシム氏によると、現地ではこれまでも中国からの果物や野菜の種子が販売されてきた。一般的に出芽率は高く収穫物の品質が良いので高く売れる。新たなアブラナのHC-021Cは中国とパキスタンのチームが地元の栽培条件に特に配慮して開発した品種ということで、試験栽培に取り組む農家の熱意はより高いという。

 周氏は、パキスタンでは種子の選別や育成、畑の管理、農業副産物の高度加工などの分野で向上の余地が大きく、新たな品種の導入は農業の発展の好機になると考えている。

 周氏は、「パキスタンではハイブリッドイネやハイブリッド小麦などの穀物からアブラナやゴマのような換金作物、地元の人びとが好むカリフラワーなどの果物や野菜に至るまで、中国の種子が奏功して、農家の所得水準が著しく向上しています」と説明した。

 種子取引所の裏手にあるナシム氏宅の台所では魚のフライやサモサなどの揚げ物を作っていた。食欲を誘う香りが辺りを漂う。

 周氏によると、パキスタン料理は植物油を多く使うが、自国だけでは生産が不足して輸入依存度が高かった。周氏は、新品種のアブラナの栽培面積が拡大することで、ますます多くの家で高品質の地元産の植物油が使えるようになると期待している。

 ナシム氏は中国に留学したいと願っている。中国の種を栽培することで、先進的な農業技術を導入することの重要性に気付くパキスタン人が増えており、ナシム氏も中国に行ってより多くの先進的な農業技術を学び、故郷の農業の発展により多くの貢献をしたいとの考えだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News