【2月29日 AFP】陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」は28日、東京五輪期間中にベラルーシの女子短距離選手クリスツィナ・ツィマノウスカヤ(Krystsina Tsimanouskaya)選手(27)に帰国を強制したとされるコーチのユーリー・モイセビッチ(Yury Maisevich)氏(63)に、5年の資格停止処分を科した。

 ツィマノウスカヤ選手は、2021年に開催された東京五輪期間中にベラルーシ選手団の命令に従わなかったとして羽田空港(Haneda Airport)に強制的に連行されたが、介入した日本当局に保護された。その後同選手にはポーランドから人道ビザ(査証)が発給され、同国に亡命していた。

 ツィマノウスカヤ選手はベラルーシに強制帰国させられた場合、自身の身の安全について懸念を抱いていた。

 AIUは、モイセビッチ氏の行為が「選手の尊厳に対する明らかな侮辱で、権力の乱用」だと述べた。またモイセビッチ氏は、この件の捜査員に不正確な情報を提供していたことも判明している。

 昨年5月に指導者を引退したモイセビッチ氏は、ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)や加盟連盟の下でのいかなる活動への参加も直ちに禁止されている。(c)AFP