【2月24日 AFP】インドの裁判所は22日、ヒンズー教の女神とイスラム教の皇帝にちなんで名付けられたライオンのつがいについて、別の名前に改めるよう当局に要請した。ヒンズー教の右派過激派団体が、「冒涜(ぼうとく)」行為だとして改名を求めて裁判を起こしていた。

 雌ライオンの「シータ(Sita)」と雄ライオンの「アクバル(Akbar)」は今月、動物交換プログラムの一環として隣の州から西ベンガル(West Bengal)州のシリグリ動物園(Siliguri Zoo)に移送された。

 シータは、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ(Ramayana)」の主要登場人物の一人で、ヒンズー教で崇拝対象となっているラーマ(Ram)神の妻の名前。

 一方のアクバルはムガール(Mughal)帝国の皇帝で、16世紀に一部地域を除くインド亜大陸でイスラム教による支配を拡大した。ヒンズー教の民族主義者は、この時代に宗教弾圧が行われたと主張している。

 右派過激派団体「世界ヒンズー評議会(VHP)」は、ライオンのつがいがこうした名前を持つことは、ヒンズー教徒の信仰心を傷つける「冒涜」行為だとして提訴。さらに、雄ライオンは園に移送されるまでは「ラーマ」という名前だったとも主張した。

 ヒンドゥスタン・タイムズ紙によると、西ベンガル州コルカタ(旧カルカッタ)高等裁判所の判事は、「無用な論争を避けるために改名するべきだ」と州側の弁護士に要請した。

 弁護士は判事に対し、州では既に改名を検討中だと伝えたという。(c)AFP