【2月19日 CNS】中国・湖南省(Hunan)益陽市(Yiyang)の洞庭湖(Dongting Lake)は豊かな鳥類の生息地であり、絶滅危惧種や希少な渡り水鳥の重要な生息地、繁殖地、中継地となっている。

 洞庭湖自然保護区のスタッフである陳新(Chen Xin)さんは「湿地や渡り鳥の保護に経済的利益はあまりなくても、将来の世代にとっては真の利益になるはずだ」と語る。子どものころから、洞庭湖の水が開発で濁り、そして保護活動などで再び水が澄むようになった時代の変化を目撃してきた。

 2023年6月、世界的に絶滅が危惧されている潜水性のカモ「アカハジロ」8羽が初めて観察された。北京林業大学(Beijing Forestry University)の丁長青(Ding Changqing)教授によると、現在、中国における最南端の繁殖記録である。

「近年、異常気象が頻繁に発生しているが、鳥類の数は基本的に増加している。現在、この地域では常時50種、1万羽以上の越冬水鳥を観察することができる」と陳さんはいう。

 これは献身的な保護活動のたまものでもある。繁殖地でアカハジロ成鳥のつがいとヒナ6羽が行方不明になった際、陳さんは現地スタッフを率いて4日間昼夜を問わず近くの海域を捜索し、繁殖地から約500メートル離れた葦原で、楽しそうに餌を食べるアカハジロの家族を発見したという。

 近年、河南省(Henan)は湿地に損害を与える違法行為を厳しく取り締まっている。同省林業局の関係者によると、長江(揚子江、Yangtze River)沿いの砂利採集場251か所を取り壊し、緑地に復元されたほか、重金属の汚染企業1034社が閉鎖されたという。

 現在、洞庭湖とその周辺地域の越冬渡り鳥の数は、毎年30万羽から40万羽で安定している。陳さんは、鳥類を保護している多くの関係者と協力して湿地を守り、人間と鳥が共に暮らす場所を守り続けたいと語っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News