【2月19日 東方新報】中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)によると、1月の人民元建て新規融資額は4兆9200億元(約102兆5392億円)、実体経済への資金供給総額は6兆5000億元(約135兆4685億円)で、それぞれ過去最高を記録した。

 しかし、その他の指標は需要の低迷が長引いていることを示している。国家統計局によると、インフレの主要指標である消費者物価指数(CPI)の1月の伸びは前年同月比マイナス0.8パーセントで、2009年以来となる4か月連続でマイナス圏にとどまった。

 また1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2で、景気拡大と縮小を分ける50を下回った。

 中信証券(CITIC Securities)のチーフ・エコノミストは、「これらまちまちの数値は、景気回復の基盤が依然として不安定であることを示している。金融政策を引き締めに転換すべき根拠は見られない」と見ている。

 シンクタンク「中国金融40人フォーラム(CF40)」の上級研究員で、中国人民政治協商会議第14期全国委員会メンバーである張斌(Zhang Bin)氏は「需要不足が依然として中国経済が直面する最大の課題だ。今後資金需要拡大のためには、政策基準金利を大幅に引き下げ、実質金利を抑え込む必要がある」という。

 中国人民銀行のデータによると、中国の新規企業融資の加重平均金利は昨年12月には3.75パーセントと過去最低を更新した。

 北京大学(Peking University)光華管理学院の応用経済学の龔六堂(Gong Liutang)教授は、「資本市場と個人消費に対する政策支援の強化が不可欠であり、金利引き下げは重要な手段として考慮されるべきだ」と述べる。

 龔教授は「家計の所得の伸びは依然鈍く、住宅や株式の資産価値の上昇に伴う消費支出増加という財産効果は減退している。これらが相まって、消費ならびに経済全体に重くのしかかっている」と見ている。

 政策支援強化のため、中国人民銀行は2月5日、金融機関が準備金として保有しなければならない「預金準備率」を0.5ポイント引き下げ、1兆元(約20兆8413億円)の長期流動性をリリースした。

 しかし、主要な基準金利である「中期貸出金利(MLF金利)」の引き下げは、先月は見送られた。その代わりに、農業セクターと中小企業向けの政策金利に的を絞り引き下げを行った。

 中国人民銀行に近い専門家は、広範な金利引き下げを妨げる要因として、米中金利差の上昇と商業銀行の利ざやの縮小を挙げている。

 これに対し「中国金融40フォーラム」の張氏は、「利下げはマイナスの影響よりもメリットの方が大きい」との意見を述べる。「経済が好調である限り、金融セクターに圧力がかかっても、その解決は困難ではない」と語った。

 中国人民銀行は昨年第4四半期の金融政策報告で、市場対応型の金利改革を深化させ、全体的な安定を維持しながら、社会的な金融コストの低減を促進するとの方針を打ち出している。

 中国の信用格付け機関「東方金誠国際信用評価(Golden Credit Rating International)」の王青(Wang Qing)チーフ・マクロ経済アナリストは、「中期貸出金利(MLF)が維持されたままでも、主要な市場向け貸出金利のベンチマークとなるローンプライムレート(LPR)の方は低下するだろう。不動産市場の回復を刺激するため、今年の住宅ローン金利は大幅に低下する可能性が高い」と述べている。

 中国のローンプライムレートは2月20日に発表される予定だ。(c)東方新報/AFPBB News