【2⽉21⽇ Peopleʼs Daily】中国・黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)は元旦連休中に延べ304万8000人の観光客を受け入れ、観光収入は59億1000万元(約1220億円)に達した。いずれの数字も過去最高だった。冬の観光の人気の原動力は「氷雪文化」で、その中心にあるのが「氷雪彫刻技術」だ。

 ハルビンの冬は極めて寒い。そのような自然条件の下で、雪と氷の彫刻の技が育まれた。2021年の統計によると、黒竜江省には氷雪彫刻の技能保持者が3600人以上おり、その人数は増え続けている。

 技能保持者の一人である張偉洪(Zhang Weihong)氏は「私の師匠は、伝承は繰り返しではない、すべては創造だと言っていました」と説明した。そして技能保持者により氷版画や氷雪画と水彩画を組み合わせた拓彩氷雪画、古風な陶磁器を組み合わせて氷の花を器に「咲かせる」氷花磁器、紙彫刻と音や光、電気を組み合わせた雪彫刻画などが新たに考案されることになった。テーマパークの氷雪大世界(Harbin Ice and Snow World)内の商店でもよく売れている。

 氷雪大世界の商店では、氷や雪の彫刻の技を生かしたランプが観光客を引き付けていた。福建省(Fujian)から来たという一人は、「ハルビンの雪と氷の美しさを表現できるし、値段も高くない。家族への土産にぴったりだ」と言ってランプをいくつも買った。張氏がデザインしたランプは人気商品だ。

 面積81万6682.5平方メートルの氷雪大世界は2024年1月5日に、ギネス世界記録(Guinness World Records)によって「世界最大の氷雪テーマパーク」に認定された。毎年冬の営業開始のためには、数百人の氷雪彫刻職人と1万人以上の労働者が準備のために24時間3交代制で15日間を費やす。

 氷雪大世界の「呼び物」は彫刻だけではない。例えば521メートルの巨大氷滑り台だ。重慶市(Chongqing)から来た観光客の劉さんは、映画の『ワイルド・スピード(Fast & Furious)』を引き合いに出して、その「氷版」を体験したと語った。

 ハルビン工業大学(Harbin Institute of Technology)経済管理学院の趙沢斌(Zhao Zebin)副院長は、冬の観光地としての整備とブランド確立が氷雪彫刻技術の伝承と革新に役立つと指摘した。

 氷雪彫刻の技能保持者の張氏は、天津(Tianjin)から来た15人の子どもを連れて、ハルビン市を流れる阿什河のほとりに来た。そして、小刀で氷を削って絵を描いて見せた。そして子どもらに、「私たちが作っているものは拓彩氷雪画と呼ばれます。まず氷の板に物を描き、それから彫刻し、彩色し、さらに拓本も取ります」などと説明した。

 氷雪彫刻の規模拡大に伴い、多くの企業や大学も氷雪彫刻技術の伝承に取り組むようになった。黒竜江省内の大学十数校が氷雪彫刻の授業を設け、時おり関連する大会を開催している。氷雪彫刻の技は無形文化だ。黒竜江省では、その伝承と発展のために力が入れられている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News