【2月15日 東方新報】2024年の春節(旧正月、Lunar New Year)、中国は8連休を迎え、アウトバウンド観光が注目を集めた。大みそか時点で、中国への査証(ビザ)を免除したシンガポールを含め、5大陸の23か国が中国に門戸を開いている。また、昨年末から中国のビザなし対象国はさらに拡大し、便利な交流が行われ、フランスなどから賞賛を受けている。しかし、その中に日本はまだ見当たらない。

 最近、日本政府や経済界の代表らが中国に対し、ビザ免除措置の再開を繰り返し提案している。1月に日本の経済代表団が中国を訪問した際にも、短期滞在のビザ免除措置の再開を求めている。2月13日、日本の自動車メディア「メルクマール(Merkmal)」は、「産業交流を促進するために、両国は一刻も早く平等原則に基づく相互ビザ免除を実現すべきだ」と呼びかけた。

 春節が近づくにつれ、観光市場はアウトバウンド旅行のピークを迎えている。2月4日の中国国家移民管理局は、今年の春節期間の1日平均出入国者数が延べ180万人に上るとの見通しを示し、昨年の春節に比べて約3.3倍の増加となり、2019年の春節の入出国流量と同等になると予測されている。

 中国は日本のビザ手続きを緩和しており、在日中国大使館は昨年8月、一部ビザ申請時の指紋採取を免除した。11月にはビザ申請センターでの事前予約も取りやめた。しかし、ビザ免除については、中国は平等原則に基づき、中国人に対するビザ免除に日本も応じることを求めており、双方はこの問題でまだ合意に至っていない。

 日本は「最強のパスポート」ランキングの上位にたびたびランクインしている。昨年7月、日本人がビザなしで渡航できる国・地域は189に減り、3位に転落した。今回発表されたランキングでは、日本人がノービザで渡航できる国・地域は194に増え、シンガポール、フランス、ドイツ、イタリア、スペインと並んで1位となった。首位に返り咲いたとはいえ、隣国であり日本の重要な海外市場である中国は、日本に対してビザなし政策を復活させておらず、日本のパスポートの価値を大きく下げている。

 中国はもともと、ビジネスや観光目的で中国に15日以内滞在する日本人に対してビザ免除を実施していた。しかし、新型コロナウイルスの影響で中止され、昨年、人の移動に関する制限が撤廃された後も再開されていない。日本経済はデフレの影から脱したばかりであり、世界経済の伸び悩みなどもあって、日本の対外投資や輸出の伸びは持続性を欠いている。この問題を解決するためには、日本は近隣諸国との経済貿易協力を強化する必要がある。中国は日本の主要な経済パートナーの一つであり、多くの日本企業にとって最大の海外市場でもある。近年、トヨタ自動車(Toyota Motor)やホンダ(Honda)などの有名な自動車メーカーを含む多くの日本企業が中国での業績を悪化させており、売上が減少している。

 日本政府は、中国からのビザ免除の要求に対して困難を感じている。その主要な理由は二つある。一つは、政界の意見が一致しておらず、特に自由民主党内で中国人に対する相互主義に基づくビザ免除に反対する声が存在するため、観光客の増加に積極的な菅義偉(Yoshihide Suga)前政権でさえも、中国人のビザ免除を実現できなかったことだ。二つ目は技術的な問題で、過去に中国が相互主義に基づくビザ免除を日本に要求していなかったため、日本は中国人へのビザ免除の準備が不足しているということである。

 中国人に対するビザ免除は、日中間の各分野での協力を促進するだけでなく、日本の観光収入の増加と地方経済の活性化にも寄与する。中国のアウトバンド需要が高まっている中、東南アジア地域の安全性の懸念により中国人観光客にとって魅力が減少している。この状況は、日本にとって中国人観光客を惹きつける格好の機会である。この機会を逃すと、日本は観光収入を失うだけでなく、日中間の民間交流に悪影響を及ぼし、将来の協力に障害を生じさせる可能性がある。

 人の往来を容易にすることは、日本と中国の両国に利益をもたらす。日本は技術的および政策的な問題に直面しているが、中国と積極的に協力し、対話や協議を強化するとともに、ビザの便利化措施を通じて誠実さを示すべきである。報道によると、中国は外交および公務パスポートを持つ中国人に対するビザ免除を日本に求めており、これは全面的なビザ免除への重要な一歩となり得る。(c)東方新報/AFPBB News