【2月13日 CNS】中国・上海市が、高齢者向けの食堂設置など食事支援サービスの構築に注力している。背景には上海市の超高齢化がある。統計によると、同市の60歳以上の登録人口は3分の1以上にあたる550万人以上だ。市内には、すでに2000以上の高齢者向けのコミュニティー食堂と食事支援所が建設されており、過去1年間に41の新たな高齢者向けコミュニティー食堂が追加されたという。コミュニティー食堂とは、政府からの補助金を受けて地域で運営される安価な食堂のこと。

 しかし、一人暮らしで不便を強いられている一部の高齢者にとっては、既存のサービスは不足している。上海市人民代表大会代表(市議会議員)の羅旻泓(Luo Minhong)氏は「現在、解決すべき問題は三つある。施設の需要と供給のアンバランス、サービスの質の改善、ボランティアの安定的な参加だ」と指摘する。

 市政府は最近、高齢者向けの食事支援サービスを拡大し、ケータリング会社、不動産サービス会社、公共慈善団体に高齢者向けの食事支援を展開するよう指導すると共に、テークアウトプラットフォームや物流会社などの事業体がこの制度に参加するよう提案している。

 高齢者問題に詳しい復旦大学(Fudan University)の呉玉韶(Wu Yushao)教授は、「上海ではマーケットとコミュニティー食堂などを最大限に活用することで、高齢者向け食事支援サービスを持続可能な発展軌道に乗せることができている」と話す。上海ではケータリングサービスのプラットフォームとの協力を試験的にスタートし、現時点で2000人近くの高齢者に食事を配達しているという。

 前出の羅氏は「コミュニティー食堂でより個性化、多様化した市場志向の高齢者サービスを開発することにより、高齢者を活用した経済『シルバー・エコノミー』の発展を促進させられるだろう」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News