【2月13日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領(81)は11日、中国系動画アプリ「ティックトック(TikTok)」にデビューした。同アプリをめぐっては、ホワイトハウス(White House)はかねて安全保障上のリスクがあると見なしており、物議を醸している。

 ティックトックでの公式アカウント開設は、11月の大統領選に向け若者を取り込む戦略の一環。投稿のテーマは、政治から同日行われたナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の王位決定戦スーパーボウル(Super Bowl LVIII)まで、多岐にわたった。

 バイデン氏の両目からレーザービームが飛び出している画像は、インターネット上ですぐにミーム(拡散される画像)となった。

 ティックトックをめぐっては、中国政府がアプリを通じてデータを取得している恐れがあるとして連邦政府の機器での使用が禁止されている。このため共和党は、バイデン氏のアカウント開設を批判。

 国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー(John Kirby)戦略広報調整官も記者会見で、「政府の電子機器でのティックトックの使用には国家安全保障上の懸念が伴うとする立場に変わりはない」と述べた。

 ティックトックの親会社は中国のバイトダンス(ByteDance)で、米政治家らは、ティックトックが中国政府のプロパガンダの道具になっているのではないかと問題視している。同社はこれを否定している。

 今回バイデン氏がティックトックのアカウントを開設したのは、SNSを活用しているドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領に対抗する狙いがあるほか、高齢であることへの有権者の不信感を和らげる目的もあるとみられる。

 先週には特別検察官が報告書で「記憶力が低下した悪意のない高齢者」と表現するなど、バイデン氏の記憶力に対する懸念は高まっている。

 バイデン氏の大統領選キャンペーンでデジタル部門責任者を務めるロブ・フラハティー氏は「昨夜開設した大統領のティックトックアカウントは500万回以上再生され、今も増え続けている。有権者とつながる新たな革新的方法を見つけるというわれわれの取り組みが成功したことを示すものだ」と自賛した。

 カリーヌ・ジャンピエール(Karine Jean-Pierre)大統領報道官は、新たなメディアの開拓は、歴代大統領に比べバイデン氏の記者会見回数が少ないことを一部説明していると指摘した。

 実際、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(University of California, Santa Barbara)の集計によると、最初の任期3年での会見数はバイデン氏が33回、バラク・オバマ(Barack Obama)氏は66回、トランプ氏は52回だった。(c)AFP/Danny KEMP