【2⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国の青海省(Qinghai)にある河南モンゴル族自治県(Henan Mongol Autonomous County)の賽爾竜郷蘭竜村の標高は3500メートルだ。村内では「雪多ヤク」と呼ばれる品種のヤクがのんびりと歩いている。中国共産党の同村支部の長愛(Zhang Ai)書記は、「いろいろな品評大会で30回以上も優勝しました」と自慢した。雪多ヤクは国の遺伝資源品種にも登録されており、中国の有機食品とグリーン食品の認証も取得している。

 雪多ヤクは骨が太く、毛はつややかだ。体が大きく体重は800キロに達する個体もいる。肉にはたんぱく質やアミノ酸の含有量が多く、多くの種類の微量栄養成分も含まれる。そして脂肪量は適度だ。これらの特徴は、現地の日照が豊富で草原の総合植生被覆率が高いことのおかげだ。

 家畜の数が増加すれば、草と家畜のバランスが臨界点に達する。規模を拡大し続けて量を追求するのか、それとも環境第一、品質第一に徹するのか。現地では生態の保護を最優先して、定期的に空気、土壌、水の環境モニタリングを行い、農業による汚染物質放出の抑制を強化した。担当者の一人は「ヤクの数量を制限することで、有機牧草地の持続的な利用とヤクの品質を確保することができます」と語った。長期的な視野を持ち、その土地の事情に応じて適切に対応し、自然法則を尊重してこそ、総合的な利益を持続して得られることになる。

 飼育に制限を設けたことで、当初は一部の牧畜民から不満が出た。しかし彼らはほどなく、新たな方式で「財布が膨らむ」ことに気付いた。現地では「リーディングカンパニー+合作社(組合)+牧畜民」モデルが構築された。業務の流れに一貫性を持たせたことで、雪多ヤクという品種に関連してさまざまな強みが発生した。例えば、蘭竜村畜種合作社は牧畜民の出資により設立された。出資は金銭とは限らず、権利を持つ牧草地やヤクそのものの場合もあった。そして種付けビジネスの成功で、組合員に対する配当金は累計数百万元(500万元は約1億300万円)に達した。地元の実情に立脚し、生産方式や協力モデルなどでの特長を積み重ねることで産業の質の高い発展が実現し、人々が持続的に利益を得られるようになった。

 雪多ヤクが品種としてどれほど優れていても、それだけで地元が大きく潤うことはない。必要なことは産業チェーンの構築だ。河南県青清海農牧科技商貿の現代的な工場では、1時間当たり8万個のヤク肉入りギョーザ、4万個のヤク肉まん、500キロのヤク肉煮込みを生産できる。さらに現地企業はヤクミルクコーヒー、ヤクコラーゲンペプチドなど114の製品を開発し、有機畜産業の産業チェーンを延長した。商品の付加価値を高めることで新たに獲得した利益はもちろん、牧畜民にも還元される。

「グリーン」と「有機」の道を走る雪多ヤクの関連産業は、現実に立脚して特色ある産業を育成すれば、地元の潜在能力が活性化し、増収を実現することができることを示している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News