ソウル市瑞草区(ソチョグ)の最高裁(c)news1
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【02月10日 KOREA WAVE】韓国で「良心的兵役拒否」を主張して入営を拒否した男性に実刑が確定した。反戦・平和主義の信念をそれまでは表明したり実践したりしたことがなく、戦争ゲーム「バトルグラウンド」を楽しむなど、「入営を拒否する信念の真実性」が認められなかったためだ。

最高裁はこのほど、兵役法違反の罪に問われたA氏の上告審で、懲役1年6カ月を言い渡した原審を確定した。A氏は2018年10月23日、現役兵の入営通知書を受領したが、正当な理由なしに入営しなかったとして起訴された。

1審はA氏に懲役1年6カ月を言い渡した。A氏は「暴力や戦争に反対するという信念から現役兵の入営を拒否した。入営拒否に兵役法88条1項の『正当な理由』がある」と主張したが、受け入れられなかった。

1審は「『良心的兵役拒否』における『良心』は、その信念が深く確固で真実であるべきだ。兵役拒否者が信念と関連した問題で、状況により異なる行動をとるならば、そのような信念は真実とは言い難い」と判断した。

警察の捜査過程で、A氏が軍隊の上命下服文化や人権侵害、不条理などを入営拒否の主要理由として供述したことについても、「暴力や戦争に対する反対」や「銃や軍事訓練を伴う兵役義務に対する反対」と、同一であると評価されるような密接な関連性を持っているとは考えにくい――とした。

A氏は「バトルグラウンド」という戦争ゲームを楽しんでいたという事実を自認している。このゲームは仮想世界において、銃器でキャラクターなどを殺傷することから、現実の戦闘とは異なる側面がある。だが、非暴力・反戦に対する信念を理由に、入営を拒否するA氏がこれを楽しんでいた事実は、A氏の良心が果たして「深くて真実なのか」に疑問を抱かせるとも批判した。

A氏は1審判決を不服として控訴したが棄却された。2審は「被告人が兵役義務を拒否した理由として挙げる信念が道徳的・倫理的良心であり、これを放棄しない限り銃や軍事訓練を伴う兵役義務を履行できないとか、兵役義務の履行が、被告人の人格的存在価値を自ら破滅させるほどその信念が深く確固で真実であると認めることは難しい」と明らかにした。

最高裁も「原審判決に論理と経験の法則に反して自由心証主義の限界を逸脱したり兵役法88条1項の正当な理由に関する法理を誤解した誤りはない」として上告を棄却した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News