【2⽉14⽇ Peopleʼs Daily】中国税関の推計によると、2023年の中国の越境EC貿易総額は前年比15.6%増の2兆3800億元(約49兆1000億円)で、うち輸出は同19.6%増の1兆8300億元(約37兆8000億円)、輸入は同3.9%増の5483億元(約11兆3000億円)だった。越境ECの急速な発展は中国の巨大な市場の活力と成長の強じん性を示しており、中国の消費者ニーズの多様化や個性化に対応するとともに、中国製品の世界への浸透を後押ししている。

 中国政府関連部門は2023年、通関や税徴収、外貨管理などの政策を改善し、監督管理モデルを刷新し、企業のコスト削減と効率向上を後押しした。越境EC総合試験区や業界団体、企業が「シルクロードEC」に積極的に参加し、「一帯一路(Belt and Road)」の経済貿易協力の構築を進め、越境EC輸出の長期安定化を図った。

 杭州維麗傑旅行用品は、越境EC輸出用の倉庫を海外に設けた。同社の呂強(Lv Qiang)社長は、倉庫の海外設置により「弊社の自主ブランドは海外市場での足場を固められました」と説明した。出荷とアフターサービスの利便性が向上し、さらに海外の購入者からの情報を製品の改善に速やかに結び付けられるようになったという。同社が2023年以降に海外の越境ECプラットフォームを通じて販売した自主ブランドのバッグの売上高は前年同期よりも7割以上も増加した。杭州税関は海外に越境EC用の倉庫を設けることを支持している。

 越境ECによりさまざまな業界が世界の市場に直接にリンクすることになった。そのために、従来型の製造企業と貿易企業のビジネスモデルの刷新が促進され、新業態の発展が加速される効果が発生している。

 山東省(Shandong)済寧市(Jining)の高新技術産業開発区内にある中国農創港(済寧)越境EC産業パークでは、同市金郷県(Jinxiang)産のニンニクが外国人バイヤーに大人気だ。商社の山東炯心貿易はこのほど、ニンニク1万2000ドル(約178万円)分の注文を受けた。同社の韓炬(Han Ju)社長は「産業パークに入居して越境ECに力を入れたことで、利益が50%向上しました」と説明した。

 広東省(Guangdong)珠海市(Zhuhai)では税関が、条件に合致する輸出商品についての通関手続きを簡素化するなどで、大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)の越境物流快速ルートの構築を積極的に支援している。また順豊エクスプレス(SF Holding)、DHL、菜鳥(Cainiao)などの物流企業を対象に、大陸側と香港やマカオを結ぶ港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)を利用してのEC業務を展開するよう誘導している。

 広州税関は越境EC輸出の返品ワンストップ監督管理サービスモデルを刷新した。新たな規則では、EC輸出した商品が返品された場合に、海外向けに再販売する条件を満たしていれば、輸出した企業がその商品を南沙総合保税区で保管し、倉庫内で梱包解除や再仕分けなどをすることを認めた。このことで、越境EC輸出で商品が返品された際に発生する作業の煩雑さが軽減された。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News