【2⽉12⽇ Peopleʼs Daily】中国では、冬ならではの体験を楽しむ「氷雪旅遊(氷雪観光)」と呼ばれる娯楽が盛り上がっている。例えば黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)では元旦連休中の民宿予約率が9割以上だった。

 中国観光研究院によれば、2023-24年の冬のシーズンに中国では氷雪観光の旅行者数が前年同期比25-30%増加の延べ4億人以上に達し、関連売上高は5500億元(約11兆2000億円)に達する見込みだ。

 中国では「文化の旅」も盛り上がっている。浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の西湖(West Lake)のほとりで民宿を12年以上も経営する陸珊(Lu Shan)さんは「観光客はただ風景を見るだけではなく、現地の生活に深く入り込み、現地の文化を堪能したいと考えています」と述べた。陸さんは、文化の旅の進展に合わせて新たなサービスを次々に打ち出してきた。陸さんの民宿がこの冬に始めた炉を囲んで茶を楽しむ趣向は、客にとても好評だ。

 文化・観光部によると、2023年1-9月の中国国内観光客数は前年同期比15億8000万人増・75.5%増の延べ36億7400万人で、国内旅行での支出総額は同1兆9700億元(約40兆2000億円)増、114.4%増の3兆6900億元(約75兆3000億円)に達した。

 古い茶の取り引き場である玉山古茶場に「ゴーン」と銅鑼の音が響き渡った。伝統衣装を身にまとった茶農家2人が、茶葉を担いで市場に入ってきた。宋代の茶の取引の再現だ。場所は浙江省金華市(Jinhua)磐安県(Pan'an)。太鼓が一斉に鳴り響き、集まった観光客は拍手喝采だ。

 磐安県は2022年11月に「中国の伝統的製茶技術とその関連習俗」が国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の無形文化遺産に登録されたことを受け、茶に関連する観光商品を整備した。古い茶樹の保護園も設立するなどで、茶産業と観光産業を融合させた。今では茶文化を満喫しようと押しかける観光客が後を絶たない状態だ。

 江西省(Jiangxi)の婺源県(Wuyuan)篁嶺村は600年近い歴史を持つ古い村だ。集落は棚田に囲まれ、家屋は急斜面に建てられている。村民は秋の収穫期になると農作物を円形で平たい竹の大ざるに盛って自宅の屋根の上の棚で干す。

 この独特の「天日干し」の景観が中国全国で有名になった背景にはインターネットの活用があった。まず、動画投稿サイトを利用して「一緒に秋干しを楽しもう」などと呼び掛けた。そして投稿作品のコンクールを行うなどで、旅行ブロガーや写真愛好家を呼び寄せ、そのことでさらに多くの観光客を誘致したのだ。地元観光会社の婺源篁嶺文旅の曹錦鍾(Cao Jinzhong)総裁によると、2023年1-3月には同村を訪れた観光客の半数以上が、動画を見てやってきた人だった。

 2023年に中国の大手動画投稿プラットフォームの「抖音(Douyin)」で発表された「田舎の文化の旅」を紹介する動画は6000万本以上で、紹介された旅先は15万か所以上だった。新しい手段の動画投稿による情報発信が、古い農村への観光を後押ししている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News