【02月04日 KOREA WAVE】
記者会見を開く全国公務員労組2030青年委員会の構成員ら(c)news1
記者会見を開く全国公務員労組2030青年委員会の構成員ら(c)news1

「初任給年俸3000万ウォンですか?むしろ気楽にバイトをしたいです」(26歳の大学生、キム・ジフンさん)

韓国で安定的な職業として一時最高の職業とされていた公務員が「ゼルファ(Z+alpha)世代」(1990年代半ば以降の出生者)からそっぽを向かれている。

人事革新処によると1月18~22日、4749人採用する国家公務員9級公開採用試験願書を受け付けた結果、10万3597人が志望し21.8倍の競争率だった。2011年93.1倍まで急騰した後、競争率が下落し、92年の19.2倍に次ぐ32年ぶりの低倍率だった。2022年からは3年連続で30倍以下の競争率となっている。

9級競争率の下落は劣悪な処遇と数多くの悪質なクレーム、垂直的な組織文化に対する懸念が重なった影響との解釈だ。学齢人口が減ったのも志望者減少に影響を及ぼしたものと見られる。

これを受け、政府は今年9級公務員の初任給を年俸3010万ウォン(1ウォン=約0.1円)、月平均251万ウォンに引き上げた。今年の公務員報酬引上げ率2.5%に3.5%追加引き上げ分を加えて6%引き上げた。昨年の年俸2831万ウォン(月平均236万ウォン)より179万ウォン上がった金額だが、競争率は落ち込みを免れなかった。

最低時給9860ウォンをもらって働くアルバイト(月給206万740ウォン)よりは多くもらえるが、多くのクレームと重い責任、人間関係など神経をすり減らすことが多いということから求職者の目線に合わないのだ。時給1万2000ウォンレベルのやや待遇の良いアルバイトを選べば、9級初任給と同等の月給250万8000ウォンを受け取ることができる。

人事革新処の民間比公務員報酬水準によると、公務員報酬現実化5カ年計画が展開された2000年88.4%から2004年95.9%に上方修正されたが、その後、国家財政状況などを理由に処遇が適切に改善されず、80%台をが続いている。2022年には83.1%まで下がり、関連の統計が始まった2000年以後、最も低いレベルだ。

また、9級志望者の平均年齢も今年初めて30歳を超えた30.4歳だった。20代以下が54%で多かったが、2022年60.9%、2023年57.3%で20代の志望者は減少傾向だ。一方、30代、40代、50代以上はいずれも増加している。

公務員の報酬体系は号俸が上がったり昇進するとともに改善される。しかし、定量的成果を透明に認めて評価することが難しい年功序列中心の昇進制度が維持され、人事が停滞している点が問題だ。ワークライフバランスを優先視したり、達成感を求めるゼルファ世代の特徴とも合わないと指摘されている。

最近、忠州市(チュンジシ)ユーチューブチャンネル「忠(チュン)TV」を地方自治体のチャンネル登録者数1位に上げた「忠州マン」キム・ソンテ主務官が6級に特別昇進したことについて「破格的」だという評価も出ている。通常、9級から6級に昇進するのに地方公務員は13年、国家公務員は15年かかるが、キム主務官は9級から7年で昇進した。

このような人材登用の限界が政府の競争力弱化につながらないようにするためには、処遇改善と同時に、古い人事規制や公職文化の革新に努めなければならない。これに対し人事処は処遇改善を進め、水平的な組織文化づくりと管理者のコミュニケーション力量や指導力教育を強化する計画だ。

さらに、有能な公務員を採用するために民間からの優秀な人材の登用が必須の公職分野の場合、今年から4級以上の任期制公務員に限って年俸上限をなくした。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領も昨年末、「公職者が国民のための奉仕者という憲法に定めれられた責務に専念できるよう政府がしっかりサポートする。政府は国民のために献身する公職者の処遇と勤務条件を改善していく」と話した。

政府関係者は「核心が処遇問題だということがわかっており、各種手当てなどの改善でより良い公務員社会を作る。優秀な人材確保のために積極的に取り組む」と明らかにした。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News