海底にデータセンターを建設、陸上より有利な点とは何なのか
このニュースをシェア
【2⽉9⽇ Peopleʼs Daily】中国・海南省(Hainan)の陵水リー族自治県(Lingshui Li Autonomous County)沖合の清水湾の水深35メートルの海底で2023年12月31日、クラウドコンピューティング用のデータモジュールが稼働を開始した。この海南陵水商用海底データセンターは世界初の商用海底データセンタープロジェクトだ。
なぜ海底に設置されたのか。最大の理由は、サーバーの大量の熱放出に対応するためだ。陸上施設は冷却のために大量の電力や淡水を消費する。海底ならば海水を冷却用に使うことで、電力と淡水の消費を減らせる。そのことは、より高性能の機器を設置して演算能力を高めることにもつながる。
データセンター内は各種の電気設備が「すし詰め」状態だ。そのため、どのデータセンターも火災防止に特に注意しているが、海南陵水商用海底データセンターではモジュール内に不活性ガスが充填(じゅうてん)されている。無酸素で無塵の密閉空間により電子機器の事故発生率は低くなる。海水により人の活動エリアと遮断されることで、サーバーのより安定した動作環境が実現した。
海南陵水商用海底データセンターは、100個のモジュールを設置する計画だ。完成後には従来型の陸上施設と比べて通年の電力使用量を1億2200万キロワット時、淡水使用量は10万5000トンを節約できる。
現場の海岸にはマングローブ林がある。岸側と海底の施設を結ぶ光電複合ケーブルを敷設する際には、指向性ドリルを使って根の下を掘り抜くことで、マングローブを最大限に保護したという。
陸上にある総制御室では、施設全体の状況がリアルタイムで画面表示されている。陸上施設の敷地面積はわずか数百平方メートルで、作業員は10人弱だ。スマート遠隔操作システムの利用で人による点検作業を減らしたことで、運営コストも削減できた。
また、海底に設置することで自然災害のリスクも低減した。施設の設計に当たっては、台風や地震などの極端な状況下で海底の施設が受ける衝撃を想定して、必要な対策を施した。海底データセンターは、広東省に上陸して大きな被害をもたらした同年の台風4号「タリム」の影響もほとんど受けなかった。
同事業を推進する海蘭クラウドデータセンター科技の李家文(Li Jiawen)副社長によると、今後は、顧客が直接カスタマイズしてクラウドコンピューティングサービスを購入できるサービスを行う。企業が海底データセンターサービスを利用するハードルを大幅に下げるものという。
李副社長は、同社の運営する施設を「海底の『スパコン』のようなもの」と表現した。計算能力は従来型パソコン6万台分に相当し、30秒内に400万枚以上の高精細写真を処理できるという。
同社はすでに、同じ省の三亜市(Sanya)にあるハイテクパークの三亜崖州湾科技城や、人工知能(AI)やビッグデータ、データセキュリティーを手掛ける拓爾思情報技術と大型契約を結んでいる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News