【2月2日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は1日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)でパレスチナ人に対する暴力が耐え難い水準に達していると指摘し、関与したイスラエル人入植者に制裁を科す大統領令に署名した。

 昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)がイスラエルを越境攻撃して以来、両者の紛争が激化する中、米国がイスラエル側に制裁を科すのは異例。

 大統領令では「西岸の状況、特に強硬派の入植者による高レベルの暴力、住民や集落の強制移転、財産の破壊は耐え難い水準に達しており、平和、安全、安定に対する深刻な脅威となっている」と指摘している。

 これを受け、米国務省はイスラエル人入植者4人に対する制裁を発表。対象者が米国内に保有する全資産を凍結し、米国人との金融取引も禁じた。

 4人のうちの1人は、ヨルダン川西岸の町フワラ(Huwara)で暴動を主導した罪に問われている人物。フワラではイスラエル人2人が死亡した襲撃事件を受け、パレスチナ人1人が殺害され、パレスチナ人の住宅が放火された。

 緊密な同盟国である米国による制裁に対し、イスラエル側は西岸で自国民の「圧倒的多数」は法を順守していると反論した。

 イスラエル首相府は「イスラエル国民がどこで法を犯そうと、例外なく対処する。従って例外的な措置は必要ない」と声明で述べた。

 米国務省のマシュー・ミラー(Matthew Miller)報道官は、イスラエルは制裁対象となった4人のうち3人を起訴したが、さらなる措置が必要だと反論。「われわれは必要に応じて追加措置を講じることを躊躇(ちゅうちょ)しない」と述べた。(c)AFP/Shaun TANDON