【1月31日 AFP】米カリフォルニア州沖で、生まれたてのホホジロザメの姿が初めて観察された可能性があることが、新たな研究で明らかになった。野生のホホジロザメの幼魚はこれまでにも目撃されているものの、今回の個体は背びれが丸みを帯びており、生後数時間の稚魚だったとみられている。

 このホホジロザメは2023年7月初旬、野生動物ドキュメンタリー作家のカルロス・ガウナ(Carlos Gauna)氏と米カリフォルニア大学リバーサイド校(UC Riverside)生物学博士課程の学生フィリップ・スターンズ(Phillip Sternes)氏が、カリフォルニア州サンタバーバラ(Santa Barbara)近郊沖でドローンに搭載したカメラで撮影した。

 最初に目撃されたのは雌のホホジロザメで、臨月に近い個体とみられた。この雌が水中深く潜ったように見えた後、今度はより小さい、1.5メートル程度の個体が海面に顔を出し、上空でホバリングしていたドローンのカメラの方を真っすぐ向いた。

 ホホジロザメは、背側が灰色で腹側が白い。だがこの個体は全身が白く見えたため、ガウナ氏は最初、アルビノ(先天性色素欠乏症)ではないかと考えたが、不器用そうに泳ぎ回っているうちに、体から白い膜がはがれ落ちたように見えたという。

 両氏は学術誌エンバイロメンタル・バイオロジー・オブ・フィッシーズ(Environmental Biology of Fishes)に29日に掲載された記録の中で、この白い「膜」は子宮内で子どもに栄養を与えるために分泌されるミルク様物質による組織層で、誕生後すぐにはがれ落ちたのではないかと述べた。ただし、皮膚疾患の可能性も考えられるという。

 ホホジロザメは国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List)」で、絶滅危惧種に指定されている。

 カリフォルニア州南部は若いホホジロザメの生育場として、また同州中部沿岸は出産スポットとして知られており、ガウナ氏はこれまでにも妊娠中の雌や幼魚を目撃してきた。

 ただし、「サメが生まれる場所がピンポイントで特定されたことはなく、生まれたばかりの稚魚を見た者もこれまではいない」とガウナ氏。

 またスターンズ氏は、「これは野生の稚魚が確認された最初の証拠であり、出産場所とみて間違いないだろう」と述べ、周辺海域に広げたさらなる調査や保護を求めるロビー活動が必要になるとの見解を示した。(c)AFP/Rochelle GLUZMAN