【2月11日 AFP】イタリアではここ数か月、スピード違反を取り締まる装置が何者かに破壊される被害が相次ぎ、世論が二分している。一部のドライバーは溜飲を下げ、ヒーロー視しているが、ゆがんだ正義感によって人命を危険にさらしていると非難する声もある。

 ランボルギーニ(Lamborghini)やマセラッティ(Maserati)、フェラーリ(Ferrari)などが生まれたイタリアでは、車そのものだけではなく、車をぶっ飛ばして運転することが昔から愛されてきた。

 しかし今日では、多くの国と同様、自動の速度違反取り締まり装置が設置され、運転する際に避けては通れない存在となった。ところが、その機器が次々に破壊され、波紋を呼んでいる。

 ドイツの工具メーカー「フレックス(Flex)」にちなんで「フレキシマン(Fleximan)」と呼ばれるようになった人物は、ここ数か月、北部のベネト(Veneto)州、ピエモンテ(Piedmont)州、ロンバルディア(Lombardy)州で犯行を繰り返している。フードをかぶった人物の姿はたびたびカメラに捉えられており、時には共犯者の姿も確認されている。

 警察は1月下旬に装置2台を破壊した疑いで50代の容疑者を逮捕したが、フレキシマンではなかったという。

 警察が捜査を進めるうちに、ソーシャルメディアでフレキシマンは人気を集め、スピード違反を取り締まる罰金で政府は「荒稼ぎ」しているという不満を抱く人々から称賛されるようになった。フレキシマンを十字軍の戦士に見立てた商品もネットで販売されている。

 一方で、交通事故で家族を失った遺族は、こうした風潮を非難。交通事故による国内の死者は年間数千人に上っているとして、批判する声もある。